生産低迷、代替産業を模索 鉄都再浮揚へ論戦期待 北九州市議選

 22日告示された北九州市議選(定数57)。同市の主幹産業である鉄鋼業はコロナ禍によるダメージが深く、生産量が激減、市内の下請け企業も打撃を受けた。前回市議選からのこの4年間を見ても、「鉄の街」の象徴だった「八幡製鉄所」の名称が消え、高炉1基の火が消えた。疲弊した地域経済をいかに立て直すか。市議選での論戦は待ったなしだが、ウイルスの感染拡大が影を落とす。

 「コロナ禍で選挙どころではない市民に配慮したい」。戸畑区の現職は選挙事務所で淡々と語った。区面積の45%を占める日本製鉄九州製鉄所八幡地区(旧八幡製鉄所)の労組などの支援を受けるが、動員を掛けて開く恒例の集会は全て取りやめた。選挙カーでの活動も計3時間短縮し、名前の連呼も自粛。事務所で“待機”する時間が増えた。

 この現職を支持する同社グループの男性会社員は「暮らしを続けられる地域浮揚策を議論してほしいのだが」と肩を落とした。

 「官営八幡製鉄所」が1901年に操業して以降、北九州市は「鉄の街」として発展。約120年続いたこの名称も2020年4月、日本製鉄の組織改編で消滅。八幡地区に2基ある高炉のうち1基は同年7月に休止した。

 日本銀行北九州支店によると、北九州・京築地区の鋼材生産量は米中貿易摩擦などの影響で、18年が前年比1・8%減、19年が同6・9%減。20年に入るとコロナ禍で一段と需要が落ち込み、4~7月は前年同月比27・2~34・0%も減少した。

 秋以降は自動車の内外需要回復で景気が持ち直しつつあるが、コロナ禍で先行きは不透明だ。

 同製鉄所で長く勤務した高齢男性は「北九州の鉄鋼業がしぼんでいく姿に、寂しさや不安を感じている市民は多い」と指摘する。

 重厚長大産業を軸に発展してきた同市が、新産業として推進するのが「環境ビジネス」だ。

 若松区の響灘沖で洋上風力発電機を数十基設置する予定で、22年度着工へと準備を進める。関連産業の総合拠点化も計画しており、実現すれば国内最大規模となる。経済効果や雇用創出も期待されるが、自動車産業などに比べれば裾野は小さく、地元経済界からは「環境で飯は食えない」との声もある。

 小倉南区の中堅の現職は「コロナ禍は深刻だが、それ以前から地域経済の地盤沈下は続いていた。コロナ対策だけでなく、市政課題に正面から向き合って議論しなければ」と決意を示していた。

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