核被害救済へ知見を ICAN国際運営委員川崎哲氏

 核保有国が入っていないから条約の実効性がないとよく言われるが、誤りだ。これから核保有国は政治的、経済的、社会的な圧力に包囲されていく。核兵器の生産が国際法違反になるため、既に関連企業への投融資を引き揚げた金融機関もある。政治的にも違法兵器を使うことは難しい。対人地雷やクラスター弾の禁止条約の時も、こうした流れで生産や使用が激減した。

 核保有国や、米国の核の傘に入る北大西洋条約機構(NATO)が反対声明を出しているが、条約への焦りの表れと言えるだろう。

 日本でも、安全保障に核の抑止力は必要だとの主張が根強い。だが、現代ではサイバー攻撃などが核のリスクを高めている。一瞬で何百万人を殺害する兵器で平和が保たれているとの考えは幻想だ。核兵器廃絶こそが現実主義であり、それを支持する国が多いからこそ条約ができたのだ。

 条約締約国会議では、核実験の被害者への援助や、環境回復への行動計画をつくることになる。日本には原爆被爆者への援護策の歴史があり、福島第1原発事故による放射線汚染と除染の経験もある。これらの知見は核実験被害者の救済に生かすべきであり、オブザーバーとして参加しないのは責任放棄だ。

 また、締約国会議は核兵器廃棄の検証のあり方なども取り扱う。政府が北朝鮮の核を脅威だと思うのならば、進んでこの議論にも参加するべきだ。それは日本にとっての実利でもある。 (聞き手・森井徹)

  • 西日本新聞

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