命のぬくもりに思う

 小型犬を飼い始めて1年になる。世は依然コロナ禍で、自宅にこもってゴロゴロしがちな私に、犬は上目遣いに“遊んでよ~”と鳴く。しばし相手をした後は、寝転がった私のおなかや背中に乗って何やらモゾモゾするものの、やがて腰も落ち着くと、かすかに寝息を立てるのだ。ぬくもりがじんわり伝わってくる。しばし平穏でぜいたくな時間だ、きっとお互いに。

 オーストラリアの英語の慣用句に「five-dog night」という言い回しがあるそうだ。文字通り“5匹の犬の夜”だが、その意味は「とても寒い」。はるか昔、先住民が野生の大型犬を飼いならし、毛布代わりにして寒さをしのいだことに由来するという。米国のある著名な生理学者の本で最近知った。

 犬が“代えがたい暖”として存在した過酷な時代と今は違う。でも、命が発するぬくもりは脈々と続き、時代や国を問わず普遍なのだ、と改めて思う。 (岩崎拓郎)

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