「新型コロナ対応・民間臨時調査会 調査・検証報告書」一般財団法人 アジア・パシフィック・イニシアティブ著

 新型コロナウイルスに振り回されてきた経験はいま生かせているだろうか。本書は、元記者の船橋洋一氏が理事長を務めるシンクタンクが調査会を立ち上げ、国内初の感染者確認から半年間にわたる政府対応を検証した報告書だ。

 省庁の担当者などに匿名で話を聞き、当時の安倍晋三首相らにもインタビュー。「泥縄だったけど、結果オーライだった」(官邸スタッフ)-こうした83人の証言から、一斉休校要請や緊急事態宣言など政策決定の舞台裏や、現場の混乱ぶりを浮き彫りにした。

 新型コロナの感染再拡大を受け、2度目の緊急事態宣言が出されたが、危機感はそれほど浸透していない。背景には今も「場当たり的」な対応を続ける政府への不信感があるのだろう。なぜこれまでの教訓を生かせなかったのか。本書を読むとそんな思いが募る。

(田中良治)

 「新型コロナ対応・民間臨時調査会 調査・検証報告書」一般財団法人 アジア・パシフィック・イニシアティブ著(ディスカヴァー・トゥエンティワン・2750円)

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