うつ病の男性が明るく…飲酒OKの認知症カフェ 福岡・大牟田市

 認知症への先進的な取り組みで知られる福岡県大牟田市に、全国でも珍しい、飲酒OKの認知症カフェがある。スナックを会場に使うことで男性も参加しやすくなり、アルコールの効果で会話が広がる効果も狙った。新型コロナウイルスの影響で休んだ時期もあったが、今は月に1度、日中にコロナ対策を徹底し、定員も時間も減らして開いている。主催者であるスナックのママは「認知症の人としてではなく、一人の大人のお客さんとして向き合うことが肝要」と話す。

 昼すぎのスナック街の一角。明かりを絞った店内にはカラオケを歌う男性の声が響く。革張りのソファに腰掛けて談笑する男女と接客する女性。一見、ありふれた酒席だが、客は認知症や老年期うつ病の患者と、彼らのサポートスタッフたちだ。

 軽度の認知症が疑われる男性は、初めは緊張した面持ちだったが酒やカラオケで徐々に表情がほぐれていった。「普段は1人だから。人のいる場所はいいね」とリラックスした様子で言葉を交わす。別のうつ病の男性も、参加を重ねるごとに少しずつ口数が増え、明るくなったという。

 店の名は「凛(りん)カフェ」。夜はスナック「凛」となる。ママの山田鮎美さん(43)が認知症カフェを始めたきっかけは、父親が3年前に認知症を発症したこと。年配の常連客が認知症になっても楽しめる場所をつくれないかとの思いが募り、知り合いのおおむた認知症カフェ連絡協議会のメンバーと検討した。

 ただ、「久留米認知症カフェを広める会」の横道正克代表によると、一般的に認知症カフェの男性利用者は1割以下にとどまる。凛カフェの運営者の一人は、現役時代に仕事中心だった男性は、近所付き合いが希薄な人が多いことや、カフェでの会話を苦手に感じる傾向があるとも指摘する。

 このため、山田さんは自分の店で酒を提供しながら開くスタイルで一昨年の夏に初開催した。参加料は千円、アルコールは2杯まで。地元の医師から、2杯程度ならば悪影響はないと“お墨付き”を得たからだ。

 新型コロナの影響で昨年2月にいったん休止したが、感染防止対策を取って同10月に再開。原則毎月第4木曜に開き、これまで計8回約45人が参加した。今後は徐々に頻度を高める意向で、山田さんは「認知症を理由に、外出や飲酒などの制限を増やしたくない。地域の中に居場所をつくるためにも、こうしたカフェが増えてほしい」と話している。 (玉置采也加)

【ワードBOX】認知症カフェ

 欧州が発祥とされる。認知症患者やその家族、地域住民らが交流しながら支え合うことを目的に、喫茶店や病院施設などでお茶を提供しながら開くのが一般的。患者の外出促進や居場所づくり、症状観察などに有効で、家族の精神的安定にも役立つとされる。国は2015年に「認知症施策推進総合戦略」の中心施策の一つに位置付け、全国で増えている。

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