コロナ禍の“タイガーマスク” 福岡の自治体に衛生用品贈る

 福岡市立小中学校が今月から登校時の検温に使っている非接触型の体温計280個は、福岡県在住の男性から寄付されたものだった。店を営む男性は、これまでも仕入れのルートを活用して入手した消毒液やマスクを県内自治体の教育委員会などに寄付してきた。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「身近で困っている人への支援の輪が広がれば」と、匿名を条件に取材に応じた。

 寄付のきっかけは、衛生用品が品薄になった昨春。店の消毒に使う次亜塩素酸水を知人が分けてくれた。薄めて使うことから余剰分を客に配ったところ、受け取った地元の学校の先生から「学校でも不足している」と明かされた。

 居住自治体の全ての小中学校に配布すると、子どもたちや先生から「コロナに負けずに頑張ります」と感謝を伝えられた。「自分が必要とされたことがうれしかった」と男性。近隣の自治体にも身分を明かした上で足りない物を尋ね、マスクやアルコール消毒液を贈った。

 ある学校の先生の「非接触型の体温計が1個しかなく、修学旅行に持って行けない」との嘆きも聞き逃さなかった。数自治体に寄付し、福岡市教委にも尋ねたところ「各校に一つは配った」との返答。とても足りないだろうと、市教委と調整の上、小学校144校と中学校69校に行き渡る280個を格安で仕入れた。

 善意の支出の総額は数百万円に。コロナ禍の“タイガーマスク”は「困っている人は他にもいるが、個人では限界がある。こんなときだからこそ一人一つずつ、身近な人に手を差し伸べる世の中であってほしい」。たくさんの制約を強いられている子どもたちに向けて、「禍福はあざなえる縄のごとし。今の体験を生かしてつらいことを乗り切って」とエールを送った。 (横田理美)

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