宇佐の用水路、注目度高まる 「世界かんがい遺産」申請、朝ドラ誘致へ

 大分県内最大の穀倉地帯が広がる宇佐市は今年、かんがい施設(用水路)「平田井路」「広瀬井路」の世界かんがい施設遺産への登録を目指す。また広瀬井路を整備し、「日本三大疎水の父」と呼ばれる地元の偉人・南一郎平をテーマにしたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)誘致運動も地元住民団体がスタートさせた。今年は同市の用水路がクローズアップされる1年になりそうだ。

 瀬戸内気候で降水量が少なめな同市の平野部を穀倉地帯に変えたのが、この二つの用水路。平田井路は平安末期に築造され、当初は240ヘクタールを潤した。江戸時代には650ヘクタールに広域化し、時間給水のルールを設けて営農した特徴がある。広瀬井路は駅館(やっかん)川から20メートルほど高台にある農地を潤すために1873年に完成し、約600ヘクタールを潤している。

 世界かんがい施設遺産は、78カ国・地域が加盟する国際かんがい排水委員会(ICID、事務局はインド・ニューデリー)が認定する。昨年までに世界で105カ所、国内では42カ所(九州5カ所)が登録。築造から100年以上経過したダムや水路などかんがい施設が対象で、歴史的な意義などを明らかにすることで、維持管理への意識向上や地域づくりへの活用などが期待される。登録されれば、県内では初となる。

 市は1月中に申請予定。最短で4月のICID国内委員会審査・決定を経て、5月にICID本部へ申請される。8月にICID理事会で登録地が決まり、9月にICID国際執行理事会地域会議で決定する。競合地域があり、市は「登録まで数年間かかる可能性はある」としている。

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 宇佐市の世界かんがい施設遺産登録に欠かせないのが南一郎平(1836~1919)だ。昨年1月の没後100年記念式典で「出身地として遺産登録を目指すべきでは」との意見が出て、契機になった。19日には、地元住民ら14団体によるNHK朝ドラ「南一郎平」誘致推進協議会が発足した。市も全面的に支援する。

 宇佐市金屋の庄屋に生まれた一郎平は、「米を作り、地域を豊かにするように」という父の遺言に従い、水利事業に取り組んだ。総延長17キロに及ぶ広瀬井路は難所が多く、何度も工事が中断したが、一郎平は「一日学」(今日一日だけはと努力し続けると一生続けて学ぶことができる)「自彊不息(じきょうふそく)」(休みなく努力し自己を強化する)を座右の銘に難事業をやり遂げた。

 広瀬井路での働きが認められ、国に招へい。「安積(あさか)疏水(福島県)」「那須疏水(栃木県)」「琵琶湖疏水(滋賀県・京都府)」の日本三大疎水を造った。安積疏水と那須疏水はすでに世界かんがい施設遺産に登録されている。

 同協議会の岡崎憲一郎会長(64)=金屋区長=は、一郎平について「故郷への愛着や自信につながることはもちろん、困難な時代だからこそ、人間の豊かさとは何かを考えさせてくれる」と強調。南一郎平顕彰会の南文明会長(67)は「水を引けば地域が幸せになるという強い意志で困難に立ち向かった姿勢は私たちの指針になるヒーローだ。5年内くらいにドラマになれば」と張り切っている。

 (後藤潔貴)

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