国会コロナ論戦 党派超えて危機に対応を

 新型コロナウイルスの感染拡大によって国民の命と暮らしが脅かされる非常事態である。国会は与野党の枠を超えて危機の克服へ知恵を絞るべきだ。

 通常国会はきのう、衆院予算委員会で2020年度第3次補正予算案の基本的質疑が始まった。コロナ禍対応のため編成された補正予算案である。補正とはいえ総額は19兆円を超す。

 野党は補正予算案の閣議決定が昨年12月15日で、年明けの今月7日に政府が緊急事態宣言を出す以前に編成した予算案であることを問題視している。

 確かに、医療機関向けの緊急包括支援交付金など感染拡大防止策の費用も盛り込まれてはいるが、より多くの予算が振り向けられているのは経済構造の転換・好循環の実現や防災・減災のための国土強靱(きょうじん)化である。

 とりわけ観光支援事業「Go To トラベル」再開に1兆円超の事業費が計上されたことを立憲民主党の枝野幸男代表は先日の代表質問で「ピント外れの極み」と痛烈に批判した。

 疑問を共有する国民も少なくなかろう。「コロナ後」を強く意識したこの補正の中身こそ、感染拡大に対する政府見通しの甘さを物語ってはいないか。

 野党は「感染症対策重視の補正へ組み替えるべきだ」と求めたが、菅義偉首相は「GoTo事業は地域経済を下支えする。しかるべき時期の再開に備えたい」と拒んだ。政府と与党は週内にも補正予算案を成立させる構えだが、緊急事態宣言下で感染対策と経済立て直しという二兎(にと)を追う印象は否めない。

 政府が国会提出した新型コロナに対応する特別措置法の改正案について首相は「事業者や個人の権利にも十分配慮しつつ、支援や罰則の規定を設けるなど必要な見直しを行う」と速やかな審議を与野党に呼び掛けた。

 政府は特措法などコロナ関連の法改正に関しては野党との修正協議に応じる方針という。この柔軟な姿勢は評価したい。もともと特措法改正は野党が先に提案し、「(政府や与党との)対決法案にしない」としていた経緯もある。実効性を高める見直しに知恵を絞ってほしい。

 正当な理由がなく入院を拒否した感染者に懲役刑を導入する感染症法改正案を巡り、野党が「懲役刑は撤回を」と迫った。首相は「罰則を求める全国知事会の緊急提言を踏まえた」と理解を求めたが、本当に懲役刑まで必要なのか。修正協議で議論を深めてもらいたい。

 感染症対策は「時間との闘い」といわれる。限られた時間の中で拙速は避け、国民の理解と協力が得られる法律や制度をどう整えるのか。政府と与野党の危機対応能力が問われている。

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