「現場」つかめず、いらだつ首相 情報過疎ぶりも露呈

 2日間の衆院予算委員会の論戦をひとまず終えた菅義偉首相。新型コロナウイルス対応を巡るやりとりでは、現場の情報を的確に把握できておらず、自らの指示もスムーズに執行されていない現状に直面させられ、いらだちをにじませる場面が目立った。官房長官時代から官僚を思うままに動かして政策を実現してきたが、その政治手法に異変が起きている。

 26日の質疑で首相は、コロナ患者の病棟で看護師が清掃まで担っている厳しい現場環境についてただされ、「清掃業者にやってもらえるよう改善している」と胸を張った。昨年から対応に意欲を示していた課題のはず、だった。

 ところが、直後の厚生労働省担当局長の答弁で首相の「情報過疎」ぶりが露呈する。昨年末から医療機関への清掃業者の紹介を始めたが、緊急事態宣言下の11都府県の48業者中、病院と契約に至ったのはわずか3業者-。野党議員から「この数字。ちょっとびっくりしませんか」と切り込まれ、首相は「私も今、率直に数字を聞いた。現実としては申し訳ない思いです」。平謝りするしかなかった。

 前日の25日にはこんな場面も。野党議員が、2兆7千億円の予算を確保した医療機関への支援金の執行率が4割弱にとどまっている点を突き、「総理がやっぱりバーンと指示、命令しないと」と挑発。これに対し、首相は「これだけ(予算を)積んでなぜ回らないんだということを、関係大臣に強く指示している」と不機嫌そうな顔を隠さなかった。

 官僚以外の民間人とも頻繁に面会して「生」情報を直接吸い上げ、政策執行に生かしてきたのが首相のスタイル。人事も効果的に行って官僚組織を従わせ、自らが考える「あしき慣例」「縦割り行政」を打破してきた。

 ところが、新型コロナ対応では、政府内で「情報」と「指示」の目詰まりが起こっている一端が質疑で明らかとなった。ウイルス収束への道筋を付けるため一刻の猶予も許されない中、首相の本来の持ち味は復活するのだろうか。 (一ノ宮史成)

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