賃上げ厳しい攻防に コロナ下の春闘スタート

 主要企業の経営者や産業別労働組合のトップらが顔を合わせる「経団連労使フォーラム」が26日、東京都内であり、2021年春闘が事実上スタートした。新型コロナウイルスの影響で経営環境が悪化する中、経団連は基本給を底上げするベースアップ(ベア)に関し、「一律は困難」との認識を示した。連合は「悪いところだけの話をせず、賃上げ維持へ力を合わせていくべきだ」と訴えた。

 27日には経団連と連合が春闘の課題を話し合う懇談会を開催。2月中旬ごろ、大手企業の労組が経営側に要求書を提出し、3月17日の集中回答日でヤマ場を迎える。14年から続く賃上げの維持や働き方の多様化を巡り、例年以上に厳しい攻防が予想される。

 フォーラムは感染防止のため初めてオンラインで開かれた。入院中の経団連の中西宏明会長は代読されたメッセージで「事業継続と雇用の維持を最優先に、コロナ禍を乗り越え、競争力強化のために何をすべきか真摯(しんし)な議論が求められる」と強調。椋田哲史専務理事も「今なお希望退職を募る企業もあり、厳しい状況だ」と述べた。

 連合はベア2%程度を要求し、神津里季生(こうづりきお)会長は「国内総生産(GDP)の7割は個人消費だ。安心してお金が使えないと、経済全体も浮上しない」と主張した。自動車総連の高倉明会長も「100年に一度の変革期にコロナが直撃した。賃金の底上げや格差是正に取り組み、自動車産業の発展につなげることが重要だ」と訴えた。

 経団連はベアに関し、業績が振るわない企業では「困難」とする一方、好業績の企業については「選択肢」とする春闘交渉の指針を公表済み。賃上げの格差は避けられないとみられ、流通やサービス業などの産別労組「UAゼンセン」の松浦昭彦会長もフォーラムで「産業の置かれた状況に幅があり、全業種で同じように闘うのは難しい」と語った。

 また松浦会長は、感染防止などを理由に客が従業員に理不尽な要求を突き付ける「カスタマーハラスメント」が増えているとして、経営側に対策の必要性も強調した。電機連合の神保政史委員長はテレワーク環境の整備を求めた。 (下村ゆかり、久知邦)

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