コロナ禍、脱北者家族に打撃 北朝鮮 送金監視を強化 

 氷点下19度-。中国東北部の吉林省延辺朝鮮族自治州琿春と、北朝鮮を隔てる図們江(豆満江)の川面は凍り付き、流れが止まっていた。北朝鮮が2020年1月、新型コロナウイルス感染防止のため中朝国境を封鎖した影響で、中国などを経由して韓国へ脱北した人は、19年比約8割減の229人にとどまる。脱北者らによると、北朝鮮に残した家族らにひそかに送った金を当局に中抜きされる被害が相次いでおり、いてつく冬空の下で家族は困窮を極める。

 「中国元で約2万5千元(約40万円)分を送ったが、北朝鮮の家族には1万5千元弱しか届かなかったらしい」。韓国に暮らすある脱北者は明かす。中抜きされた金は、中国人ブローカーや北朝鮮内の協力者への手数料、そして当局者への賄賂に消えたのだろう。

 北朝鮮が最大の貿易相手国である中国と結ぶ国境を封鎖して約1年。人や車両の往来は途絶えたままだ。20年の貿易額は、前年比81%減の5億3900万ドル(約560億円)。過去20年間で最低水準に落ち込んだ。

 当局は脱北者に加え、密輸業者らを通じたウイルス流入への警戒も強めている。「図們江の水辺を鉄条網で覆って兵士が歩哨に立つだけでなく、地雷を埋めた地域があるとの情報もある」(外交筋)

 経済的に追い込まれる北朝鮮は、水面下のルートを通じて流れ込む金への監視を強めているようだ。韓国の聯合ニュースは昨年6月、消息筋の見方として「これまで地方保衛機関が行ってきた脱北者家族への監視と統制を中央保衛機関が直接担当するよう統制を強化した」と報じた。

 脱北者によると、家族に金が届いたのか確認できなかったり、連絡そのものが取れなくなったりするケースが増加。統制強化で現地では夜間外出が禁じられ、北朝鮮側の協力者と家族の接触が難しくなったとの情報もある。

 封鎖された国境を流れる図們江沿いには有刺鉄線が張り巡らされ、人影はなかった。川を挟んで中国側には監視カメラ、北朝鮮側には目視による国境監視塔が点在し、不法越境者に目を光らせていた。

 (琿春・坂本信博、ソウル池田郷)

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