集団下校の共通記憶

 取材で縁を得た自治会の記念誌作成を手伝っている。さまざまな年代の住民から、主に子ども時代の地域での記憶を聞き取る。自分の故郷ではないのだが、同年代の住民と話していて盛り上がるのが、「口裂け女」と集団下校の思い出だ。

 1979年ごろ、「耳元まで裂けた口をマスクで隠した女が夕方、子どもに話し掛けてくる」という、うわさ話が全国的に広がった。

 都市伝説の一種だが「昨日は隣町に現れた。今日はこの町に来る」というまことしやかな話が教室で広がり、小学生だった私も震えた。先生に付き添われて集団下校した記憶がある。

 いまはコロナ対策で日常の風景になったが、あの頃はマスク姿の大人を見るだけで怖かった。おびえる子どもたちを楽しい話題で安心させ、遠い田舎道を送ってくださった先生方に、今更ながら感謝の気持ちを伝えたい。

 (今井知可子)

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