仕事と育児、両立は「無理ゲー」 国の少子化対策に足りないものは

 西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた情報を基に、昨年11月20日付のくらし面で国の少子化対策「結婚新生活支援事業」を取り上げたところ、インターネット上で2千件を超えるコメントが寄せられた。新婚世帯に最大30万円を補助する制度で、政府は新年度から補助の上限額を倍増する方針だ。コメントには結婚や出産、子育てを巡る切実な声があふれていた。日本の少子化対策に欠けているものは何か。若者の労働問題やジェンダー(社会的性差)に詳しい専門家に話を聞いた。

 「雇用問題を解決しないと結婚も子どもも増えない! 非正規、派遣では安定できない」「育児や教育の費用が経済的に厳しい」

 コメントでは低所得問題の解決を求める意見への賛同が目立った。「『昔はお金はなくても~』って言う人いるけど、それは年功序列あっての見切り発車。今みたいに年金まで不安ならますます(出産を)敬遠する」と不安は現状だけでなく将来に及ぶ。「賃金アップが必要。企業に圧をかけるべき」という意見には80人以上が賛同した。

 「子育てのネガティブ(否定的)な要素をどうにかしないと」。賛同者が多い上位500件のうち、60件余りが育児や教育への支援拡充を求めた。「共働きすれば女性はマミートラック、保活しないと入れない保育園、子育て生活が無理ゲーって知って若い人が躊躇(ちゅうちょ)してる」。マミートラック(母親コース)は育児のため労働時間や労働量に融通が利く半面、ファストトラック(出世コース)を諦めざるを得ない働き方。保育園探し(保活)にも疲弊し、仕事と育児の両立は実行不可能なゲーム(無理ゲー)になっていると訴える。

 結婚新生活支援事業そのものへの疑問も多かった。「シングルのパパやママも一生懸命働いている」「結婚しても子をつくらない人もいる」「子のいる世帯を支援すべきだ」。さらに「就職氷河期世代が気の毒」「支援金をもらってすぐ離婚する不正が横行するのでは」などの声もあった。 (川口史帆)

 【ワードBOX】国の少子化社会対策大綱
 2019年の出生数は86万5234人で、統計開始(1899年)以来の最少を更新した。国は昨年5月、合計特殊出生率を1.36(19年)から1.8に引き上げる目標を掲げ、今後5年間の少子化社会対策大綱を閣議決定した。大綱は少子化の主な原因は未婚化と晩婚化だとして、自治体による結婚支援の後押しや不妊治療費助成、男性の育休取得促進などを具体策に挙げる。16年度から実施する「結婚新生活支援事業」は対象を現行の34歳以下から39歳以下に拡大、所得条件も緩和する方針だ。

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