論語、コロナ禍に読み解く「支え合う社会育てて」 豊前市の恒遠さん

 求菩提資料館(福岡県豊前市)の元館長、恒遠俊輔(つねとおとしすけ)さん(76)が、4冊目の著書「仁のこころを論語に聴く」(弦書房)を出版した。市内で主宰する論語教室の講義の内容を基に、論語の思想を、現在の社会のありようや自身に置き換えて読み解いた。「人生を総括する意味を込めた。今を生きる私たちが論語から学ぶことは多い」と語る。

 恒遠さんは幕末に私塾「蔵春園(ぞうしゅんえん)」(同市)を創設し多くの逸材を育てた儒者、恒遠醒窓(せいそう)のやしゃご。高校教諭、同館館長を務めた後、2015年に同市で「フォーラム蔵春園論語教室」を開き、月1回、ボランティアで講義を続ける。

 著書の「学ぶことの歓(よろこ)び」の節では講座の参加者約20人について「学校教育を離れて、自らの意志で学んでみると、そこには新たな歓びがあり、自分の中で人間らしさが今少し膨らんでゆくような気がする」としている。

 「どんな生き方ができるのか」の節では、64歳から人工透析を始めた自身を「70歳を迎えても到底(孔子の域には)達してはいない。自分に残された命の時間の中で、どう生きてゆくのかが問われている」と記した。「他人を思いやる心」の節では相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件などを挙げ「共生社会を作りだすには、障害者がどう変わるかより、彼らを取り巻く人たちがどう変わるかが問われている」と指摘する。

 論語では「仁」という言葉が頻繁に出てくる。恒遠さんは「仁とは孔子が最高の徳目と位置づけたもので、他人を思いやり慈しむ心」だと解釈する。新型コロナウイルスで感染者が誹謗(ひぼう)中傷を受けている問題については「思いやりの心がなくなっている。人々が支え合い、分かち合う社会を育てていきたい」と語った。

 四六判、224ページ。1870円(税込み)。 (浜口妙華)

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