ウィズマスクいつまで? ワクチンで集団免疫期待

 新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府は今月下旬から始めたい考えを示す。医療従事者や高齢者を優先させ、一般の人が続く計画。接種が順調にいけば、免疫を持つ人の増加で流行を抑える「集団免疫」を社会が獲得、常時マスクが欠かせない現在の暮らしは変わると期待される。免疫学の第一人者、大阪大免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招へい教授はその時期について「うまくいけば2、3年後」と唱える。

 厚生労働省は1月20日、米製薬大手ファイザーから、年内に計7200万人分のワクチン供給を受けることで正式に契約したと発表。同社製は約4万3千人参加の臨床試験で95%の有効性を示した。

 インフルエンザワクチンの有効性が「約30%から、高くても60%」とされるのに比べて高く、宮坂氏は発症や重症化を抑えるだけではなく「感染自体も防ぐ効果がある」とみる。英国や南アフリカで確認された変異ウイルスに対して効果を懸念する向きもあるが、3万文字の遺伝情報で変異するのは1カ月に2文字だとし「若干効きにくくなったとしても、全く効かなくなることは考えにくい」との見解を示す。

 国内の新型コロナ累計感染者数は38万9901人(1月31日現在)。国内の人口から見れば少ない。感染者が他人にうつす人数に基づく計算で、世界人口の6~7割のワクチン接種で集団免疫は獲得可能との見方もある。宮坂氏はこれまでの経験から、日本では3~4割が接種すれば「集団免疫にかなり近い状態になる」と期待する。

 気掛かりなのは副反応だ。中でもワクチン接種で抗体を獲得後に感染した場合、抗体がかえって悪く作用し、症状がひどくなる「ADE」(抗体依存性感染増強)を懸念する。

 ファイザー社の臨床試験では、実際にワクチンを接種した2万人余のうち、感染したのは「10人以下」。ADEが確認されていないのは、試験の母数が少なかった可能性もゼロではない。これまで実用化されたワクチンと同様に「命に関わる副反応が100万回の接種で数回以内だと、接種は(スムーズに)進められる」と見込む。

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 学界内では、新型コロナはインフルエンザのように今後も存在し続けるとの見方が少なくない。2000年以降、世界で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のように致死率が高いウイルスは、感染者を死に至らしめることが多いためウイルス自体も消えやすい一方、感染力が強く、病原性が弱い新型コロナは生き残りやすい。

 いったん獲得した免疫は半年から1年でかなり下がる可能性があり、集団免疫の維持には「毎年、接種を受けなければならない」と宮坂氏は指摘する。仲間と集い、自由に語らう暮らしを取り戻すには、各国の協力による継続的なワクチン確保も必要。「マスクを完全に外してもいいぐらいの生活になるのではないか。夜は必ず明ける」とメッセージを送る。 (吉田真紀)

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