緊急事態延長 「出口」を示し理解求めよ

 新型コロナウイルスの感染拡大を収束に向かわせるには、やむを得ない判断だろう。特別措置法に基づき福岡県など11都府県に出ている緊急事態宣言が、栃木県を除いて3月7日まで延長される。

 1日当たりの新規感染者数は全国的に減少傾向へ転じたとはいえ、延長された都府県の医療提供体制は依然として厳しい状況にある。暮らしと経済への影響に配慮しつつ、医療崩壊だけは絶対に避けねばならない。

 感染状況を判断する6指標のうち新規感染者数やPCR検査陽性率などは自治体によっては改善してきたが、コロナ病床の使用率は高止まりしている。特に不安なのは重症者病床の逼迫(ひっぱく)だ。重症者の増加に比例し、亡くなる人も急速に増えている。

 福岡県の1月31日現在の病床使用率と重症者病床使用率はともに現在の宣言が出た約3週間前より高い水準にある。自宅療養中の死者も出ている。宿泊施設の確保も含め、医療提供体制の底上げを急ぐ必要がある。

 緊急事態宣言の延長で時短営業や外出自粛の要請も継続する方向だ。飲食や観光、交通業界などへの打撃がさらに深刻化する。政府はこうした業界や失業者などの生活困窮者に対し、きめ細かな支援を続けてほしい。状況に応じた支援策の拡充も柔軟に検討するべきだろう。

 「1カ月後には必ず事態を改善させる」-菅義偉首相は2回目となる現在の宣言を出す際に言い切った。結果を見る限り、政府の見通しと対策には甘さがあったと言わざるを得ない。

 政府はこれまでの施策をつぶさに検証し、対策全体を立て直すべきだ。とりわけ、重症化リスクが高い高齢者が集まる施設や病院のクラスター防止策の拡充は喫緊の課題である。

 国民の間には各種の自粛に対する疲労や不安、不満が蓄積している。今後の対策にも幅広い層の協力を得るには、事態収束に向かう「出口戦略」の議論を深め、その道筋を国民に示すことが欠かせないだろう。

 感染力が強いとされる変異株が各国に拡散し、日本国内でも確認が相次ぐ。市中感染が広がれば病床はさらに逼迫する。水際対策の強化も怠れない。

 宣言解除の目安は、感染状況が最も深刻なステージ4からステージ3相当に下がることだ。あすにも成立する特措法改正案に盛り込まれた「まん延防止等重点措置」は、緊急事態宣言前でも自治体によって同様の措置を認めるもので、ステージ3相当での適用を想定している。

 市民生活や経済への影響を考えると、どちらの判断基準も曖昧さが残る。適用と解除のより分かりやすい基準を求めたい。

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