YOUは何しに夜の銀座へ?

 自民党の松本純国対委員長代理ら3人と、公明党の遠山清彦幹事長代理がそれぞれ、緊急事態宣言発令中の夜に東京・銀座のクラブを訪れていたことが発覚。自民党の3人は離党、遠山氏は議員辞職に追い込まれた。政権や両党が受けたダメージは大きい。

 しかし考えてみれば、国会議員はなぜ離党や辞職といった多大のリスクを冒してまで銀座のクラブに行きたがるのだろうか。今回はその点を、人気番組のタイトル風に考察したい。

 YOUは何しに銀座のクラブへ?

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 ある古参秘書に聞いた。政党職員から議員秘書に転じ、永田町歴は数十年というお方である。なぜ議員は銀座へ行くの? 彼は「議員とは基本的に『群れていないと不安な人たち』ですから」と解説してくれた。

 なるほど、派閥をつくり派閥を軸に活動する議員の行動様式はまさに「群れ好き」だ。銀座のクラブは、そんな議員たちが「情報を交換し、自分たちが仲間であると確認する場」だという。交換する情報は政策系ではなく、人事、人間関係(誰と誰がつながっているとか)、スキャンダル等の生臭(なまぐさ)系である。

 この「銀座人脈」は、例えば党総裁選などで他派閥の力を借りたいときに発揮される。「あの派閥だったらあいつとよく飲んでる。手を突っ込めるかやってみましょう」と言えば、自分の派閥のトップから「使えるやつ」と評価される。

 しかし、人脈づくりと情報交換なら何も銀座のクラブではなく、レストランや料亭でもよさそうだ。私がそう言うと、秘書氏は「それじゃ楽しくないでしょう。やっぱり女の人がいないとねえ」と笑った。

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 秘書氏の最後の言葉をとっかかりにして私なりに考えてみると、もう一つ別の理由に行き着いた。

 少々単純化しすぎだろうが、私が思うにクラブとは「おじさんたちが高いお金を払って女性にちやほやされに行く場所」である。議員の大半は「ちやほやされるのが大好き」な人たちであり、それがクラブ通いの一要因ではないか。

 特にコロナ禍で各種の会合が中止となり、議員たちは地元でも東京でも「重要人物として大事にされる」機会が減っている。「VIP扱い」のない寂しさが彼らを銀座に向かわせる-あくまで私の仮説ですが。

 ある大物政治家の愛人だったクラブホステス(銀座ではない)の暴露本には、クラブで周囲の人々が政治家に気を使ったりヨイショしたりする様子が描かれている。政治家にとってクラブとは、手軽に自己肯定感を味わえる場所らしい。

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 菅義偉首相の「8人での会食」が問題化したこともあり、「国民に自粛させておいて国会議員が自粛しない」ことに世論がどれほど怒るか、クラブに行った議員たちも予想できたはず。自分の習慣が破滅的なリスクを伴うのを知りつつ、その習慣をやめられないのは依存症の行動パターンだ。もしや「銀座依存症」?

 今回のコラムは「銀座で遊ぶ財力のない人間のひがみ」と笑われそうな気もする。しかしそれでも結構。私の立ち位置は銀座ならぬ新橋で、終電を気にしながら飲んでいるおじさんたちと一緒なのである。

 (特別論説委員)

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