「ネット中傷は恥ずかしいこと」 スマイリーキクチさん

 インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷やデマ拡散による被害が後を絶たない。昨年12月には、東名高速道路のあおり運転死亡事故を巡り、ネットにデマを投稿したとして名誉毀損(きそん)罪に問われた男が、福岡地裁小倉支部で罰金30万円を言い渡された(福岡高裁に控訴)。誰もが加害者にも被害者にもなり得るネット社会に、どう向き合っていけばいいのか。深刻な被害を経験したタレントのスマイリーキクチさん(49)に、オンラインでインタビューした。

 -デマ投稿の被害を受けた北九州市の建設会社社長とは、事件直後から交流してきた。

 「約20年前に私が被害を受けた時、警察官や検察官は『ノイローゼですよ』『ネットの書き込みぐらいで』と相手にしてくれなかった。孤独が一番つらかった。ニュースを見て、何か手助けできることがないかと思い、社長に手紙を書いた。証拠の残し方、捜査機関へのアプローチの仕方などをアドバイスした」

 -一審の公判で被告は「(投稿によって被害者に嫌がらせの)電話をする人が出るとは思わなかった」と述べている。

 「ネットに投稿するのは、世界中に公表するということ。信じる人がいると思わなかったでは済まされない。周りもやっているからと投稿する人が多いが、責任を取れるのか、立ち止まって考えるべきだ」

 -昨年12月、テレビ番組の出演者が中傷を受けた後に死去した問題で、警視庁が投稿した男性を侮辱容疑で書類送検した。捜査当局の姿勢も変化している。

 「確かに時代は変わった。捜査当局の動きが抑止力になってくれればいいと思う。ただ今のネットの状況を見ると、誹謗中傷や炎上だけでなく、新型コロナの感染者を特定する書き込みが相次ぐなど、むしろひどくなっている」

 -被害者を減らすには加害者を減らすのが一番だとして、学生向けの啓発などに力を注いでいる。

 「ネット投稿のモラル教育を受けていない大人の方に、たちが悪い人が多い。若い人に、誹謗中傷をすることは恥ずかしいという意識を持ってもらうことが大事だ。コロナ禍が落ち着いたら、中高生への出張授業など具体的な活動を始めたい」

 -被害者になったときにはどう対応すべきか。

 「一番やってはいけないのは反論。激しい言葉の応酬になると、どちらが被害者か不明確になることもある。まずは書き込みをプリントアウトしたり、(ホームページ上の住所に当たる)URLを保存したりして証拠を押さえる。刑事告発すると警告し、それでも書き込みが続くなら警察などに相談すべきだ」

 (聞き手は白波宏野) 

 

 

 スマイリーキクチ 1972年、東京都生まれ。99年、ネットの掲示板で殺人事件の犯人とのデマを流され、誹謗中傷や殺人予告が殺到した。20年以上たった今も中傷は続いている。ネット利用のモラル向上を目指し、弁護士らと一般社団法人「インターネット・ヒューマンライツ協会」を立ち上げ、各地で講演会を行っている。

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