「迷惑掛けたくない」息子ひとりでの介護…にじむ親心

復刻連載・親おもい?~ひとりで介護<5>

 「親おもい?-ひとりで介護」は、子ども世代が抱く不安や悩みに焦点を当てた連載でしたが、介護される側の親世代のみなさんからも多くの感想が寄せられました。「子どもに迷惑を掛けたくない」「自分がした苦労をさせたくない」…。親心がにじむ投稿の一部を紹介します。

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 「介護のために、今まで何もなかった兄弟関係がうまくいかなくなることもあり、親の立場から考えるとつらい。でも、ひとりでの介護は精神的、金銭的、肉体的に大変です。親として、ひとりっ子の息子に迷惑を掛けたくないと思いますが、将来どうなるか…」

 54歳の主婦はそう打ち明ける。息子は高校生。まだ介護を必要としていない世代だが「漠然とした不安」を抱えていた。その思いは、取材で話を聞いた「介護予備軍」の子ども世代からも感じられたものだった。

 「親の介護は子どもにとっても親にとっても、いつかはそのときが来ると分かっていても、なかなか話ができないと思います。答えの出ないことはないと思いますが、難しいです」

 また、娘が結婚間近という母親は、相手の男性がひとりっ子であることを心配する。自身は、祖父母やおばの介護を「姉妹たちと交代でみたから何とか乗り越えられた」と振り返る。娘は、相手の両親と、ひとり暮らしのおばの介護も担うことになるかもしれない。

 「わが家でも私の母を抱えています。みんなの介護が娘ひとりにのしかかりそうで、先が心配です」

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 少子高齢化が進み「老老介護」も少なくない。介護付き住宅に入居し、妻の介護をしている男性は、解決策が見つからないまま、時計の針が待ってくれないもどかしさをつづっていた。

 「今は私が介護できますが、将来は全くの未知数です」。2人の娘はそれぞれ結婚して家庭があり、頼りづらい。もし自分にも介護が必要になったら…。そう考えると希望が持てない。

 「親がひとりで生活できる間は遠距離介護もできますが、手がいるようになると困るのは要介護者です。親離れ、子離れはするべきだと思いますし、させるべきだと考えます。ですが、いざとなると、どうでしょう」

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 連載では、ひとりで抱え込まず、隣近所など周囲の協力も得るべきだという専門家の助言を紹介した。

 福岡市に住む75歳の女性は、すでに実践している。助け合って暮らそうと、ひとり暮らしや老夫婦のみの世帯など、10軒ほどで月1回集まり、おしゃべりする会をスタート。平均年齢は70歳を超える。

 先日、ひとり暮らしの高齢者が自宅の階段で転んでけがをし、自力で電話ができない状態に陥ったことがあった。そのときは、隣人に助けを求めて病院に運ばれ、最悪の事態は避けられた。お互いに関心を持ち合うことが、緊急時の支え合いにつながったという。

 その一方で「隣近所のサポートにも限界がある」との指摘もあった。「(倒れた人に)子どもが何人いても、誰に連絡していいか分からなかったり…。隣人同士で最大限サポートしてあげたくても(普段から)意思疎通をしていなければ」

 私の母も秋田の故郷で、近隣の人たちと家族同様の付き合いを重ねている。もしものときのために、善意のつながりが有効に機能するための鍵を、「予備軍」である私も、当事者として探していきたいと思っている。 (おわり)

 ◆この記事は2011年5月26日付で、文中の年齢、肩書、名称などの情報は全て掲載当時のものです。

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 「親おもい?」は東日本大震災の年の連載企画です。あれから10年、子どもにとっての「親の重み」はどう変化したのか。連載を読み返して、考えてみたい。

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