電力需給切迫 安定供給の使命忘れるな

 電力会社間で取引される卸電力市場の価格が異常に上昇し、新電力会社の経営を脅かしている。今後も価格の高騰が繰り返されれば、新電力は撤退を強いられかねない。再生可能エネルギーの拡大にもマイナスだ。

 政府は電力小売り自由化を後戻りさせないためにも、価格高騰の原因や背景を正確に分析し再発防止策を講じるべきだ。大手電力は、十分な燃料調達をはじめとして電力の安定供給の使命を肝に銘じてほしい。

 価格高騰の直接原因は数年に一度レベルの厳しい寒波で暖房などの利用が増え、電力需給が切迫したことだ。昨年12月後半~今年1月前半の電力需要は前年を約1割上回り、火力発電の燃料である液化天然ガス(LNG)の在庫が急激に減った。

 需要ピーク時の供給余力を示す予備率が安定供給の目安とされる3%を九州を含め各地で下回った日があったほか、火力発電用の燃料が足りなくなる心配もあった。燃料調達の見通しが甘かったと言わざるを得ない。

 大手電力が節電を呼び掛けたり、ガス会社からLNGの融通を受けたりして大停電などは回避できたものの、混乱が卸電力市場に飛び火してしまった。

 昨年12月上旬に1キロワット時当たり10円以下だったスポット価格が下旬に一時80円になり、年明けには一時251円の最高値を記録した。一般家庭の電気代の10倍という異常な価格である。

 これが新電力の経営を直撃した。新電力はNTT子会社のエネットのような大手から、第三セクターの地域電力まで約700社あり、卸市場で大手電力の余剰電力を仕入れたり、これに連動した価格で再生エネを調達したりしている。仕入れ値が高止まりすればビジネスは成り立たない。実際、事業休止や新規募集停止の動きが出ている。

 影響は一般消費者にも及ぶ。卸市場価格と連動した料金体系の新電力では、月々の電気代が突然跳ね上がる恐れもあるからだ。新電力から電気を購入している人は契約内容を確認し対応した方がいい。

 市場では需要と供給の関係で価格が上下する。避けられないとはいえ、生活に不可欠な電力の価格が乱高下するのは好ましくない。災害で品薄になった商店が価格をつり上げれば、批判は免れまい。今回の混乱に際して、電力の売り惜しみや価格を不当に操作するような行為はなかったか、検証が必要だ。

 電力不足と卸市場の混乱はひとまず落ち着いたが、天候次第で再び卸電力価格が高騰する恐れはある。市場の透明性や公平性を高めるだけでなく、非常時には政府が前面に出て節電を呼び掛けることも重要だろう。

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