3本指サイン、鍋たたき…ミャンマーとタイ、デモの抗議手法で共鳴

 【バンコク川合秀紀】国軍のクーデターに対して抗議活動が激化するミャンマーと、昨年から反体制運動が続くタイ。国境を接する両国で民主化デモが拡大する中、それぞれの抗議手法を取り入れる状況が生まれている。長年、軍が政治に強い影響力を及ぼし続ける似たような国情を抱えていることもあり、民主化を求める若者たちが互いに共鳴し合っている。

 人さし指と中指、薬指の3本を空に向かって突き立てる若者たち-。1日のクーデター以来、反国軍デモが全土に広がるミャンマーでは、会員制交流サイト(SNS)や地元メディアにデモ参加者が3本指を立てて抗議する写真や映像があふれかえる。

 「3本指」は、独裁者に抵抗する人々を描いた米国の人気映画「ハンガー・ゲーム」に登場する抗議のサインに由来する。タイで2014年にプラユット陸軍司令官(現首相)が主導したクーデターに抗議する若者たちがデモでまねたのが始まりだ。SNSで広く知られるようになり、香港の民主化運動や昨年激化したタイの反体制デモでも行われ、今回のミャンマーのデモにも波及する。

 性的少数者(LGBTQ)団体がデモに加わっている点もタイと同じ。最大都市ヤンゴン在住の20代男性は「SNSでタイの反体制デモに注目していた。軍の独裁を倒したいという思いは同じ」と話す。

 一方、タイの反体制派は9日夜、学生リーダーらが王室批判を禁じる不敬罪で起訴されたことを受け、バンコクで緊急デモを開催。参加者が持参した金属鍋を打ち鳴らし「プラユット首相は辞めろ」などと連呼した。10日にも「独裁者を追い出すため鍋をたたこう」と題したデモを行った。

 この「鍋たたき」はミャンマーが由来だ。クーデター直後、多くの市民が自宅や街頭で鍋などの調理器具を一斉にたたいて抗議の意思を示した。鍋をたたく行為は、同国では古くから悪霊を追い払う儀式とされ、国軍を悪霊に見立てている。SNSなどを通じてタイでも話題になり、若者たちがさっそく取り入れた。起訴されたタイの反体制派リーダーのパリット氏は拘束直前に「私たちも、ミャンマー人たちも民主化のため闘っている。民主主義を求める手法に国境はない」と語った。

 タイでは反体制派と在留ミャンマー人団体が連携したデモも行われている。プラユット首相は9日の記者会見で「ミャンマーの人はタイでデモをしないでほしい。タイを混乱させようとしている人たちがいる」と述べ、沈静化していたデモの再燃に懸念を強めている。

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