コロナワクチン 円滑な接種の準備を急げ

 政府が新型コロナウイルス感染症対策の切り札と位置付けるワクチンの接種が近く始まる見通しだ。パンデミック(世界的大流行)の中で実施する、前例のない大規模接種となる。

 先行した国々では混乱もあった。円滑に国民全体への接種が進むよう、国と自治体が緊密に連携し準備を進めてほしい。

 日本政府は米英の製薬会社3社とワクチン購入の契約を結んでいる。2月中に医療従事者への先行接種に乗り出す。4月からは高齢者への接種を始め、基礎疾患がある人、65歳未満へと対象を広げる予定だ。

 不安材料や課題は山積していると言わざるを得ない。

 近く国内承認される見通しの米ファイザー製のワクチンは、零下の超低温保管庫が不可欠だ。加えて一度解凍した大量のワクチンは短期間で使い切る必要があるという。

 多くの人に効率よく接種するため、体育館のような施設の使用も想定されている。感染対策で「3密」を避けるには動線整理といった準備も必要だ。何より十分な数の医師や看護師を確保することが前提となる。

 東京都練馬区はワクチンを診療所に配って個別に接種するという。福岡市医師会も医療機関に協力要請を進めている。各自治体は地域のかかりつけ医などに接種の場を広げる試みにも積極的に取り組んでほしい。

 無論、こうした準備が難しい地域もあろう。とりわけ中山間部の過疎地や九州に多い離島の住民への接種を滞りなく進めるため、広域連携によるバックアップを工夫してほしい。

 日本の接種開始は欧米諸国より遅れた。菅義偉首相は「有効性と安全性に配慮した結果、時間を要した」と釈明している。これ以上、ワクチンの確保や接種スケジュールが不透明な状況が続けば、自治体の準備にも支障が生じかねない。政府は早急に関係先と協議を詰め、国民に全体像を示すべきだ。

 昨年末成立した改正予防接種法で、国民には接種を受ける努力義務はあるが、最終判断は本人に委ねられる。それには適切な情報提供が欠かせない。

 特に今回のワクチンは先端技術を使って極めて短時間で開発された。効果は未知の部分もあり、副反応には警戒が必要だ。海外では一部の変異株に対し、効果に疑義が示されたワクチンもあるという。日本政府は国際社会と協調して、最新の情報を国民に提供し、不安を解消するよう努める必要がある。

 ワクチン接種が広く行き渡るには相当の時間がかかる。国民には引き続き感染防止の努力が求められる。接種開始が気の緩みを招かぬよう注意したい。

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