琥珀色の焼酎ダメ? ウイスキーと競合回避で色規制

 近年、ジャパニーズウイスキーが海外で高く評価されていることから、同じ蒸留酒として、木樽(きだる)で熟成させ、見た目も味わいもウイスキーに近い琥珀(こはく)色の「熟成焼酎」を売り出す動きが広がっている。ただ、国内の規制があり、長期熟成の焼酎が流通させられないらしい-。本紙「あなたの特命取材班」に左党という福岡市内の40代男性から、疑問の声が寄せられた。どういうことか?

 熟成焼酎をうたう商品は九州でも複数メーカーが売り出している。ただ、淡い色がほとんど。ウイスキーのように濃く、深い色合いは確かに見かけない。

 酒税法では焼酎もウイスキーも同じ蒸留酒に分類される。蒸留直後はどちらも無色透明だが、木樽で熟成させることで色づき、香りや味わいが深まる。ただ同法に関する国税庁通達で、焼酎の色はウイスキーの5分の1から10分の1の色合いしか許されていない。

 なぜか。同庁などによると、1980年代後半、税率が低かった焼酎について「同じ蒸留酒なのにウイスキーの税率が高いのは不公平だ」と英国をはじめとした欧州側が主張。その後、世界貿易機関(WTO)の是正勧告があり、現在はアルコール度数に応じて同じ税率になった。一方、焼酎とウイスキーの競合を避けるためとして、色規制は今も残っている。

 各メーカーが販売している熟成焼酎が淡い色なのは、この規制を満たすため。濃い色になった場合は若い焼酎を混ぜて薄めたり、ろ過したりする必要があるという。濃い色のまま流通させるには、味に影響を与えない食物繊維などを一定量混ぜるなどして「リキュール」として販売する必要がある。

 福岡市で酒店を営む土師正記さん(61)は、焼酎メーカーの研醸(福岡県大刀洗町)で熟成された焼酎がベースの「KOJI 1607」の海外輸出を今月から始める。濃い琥珀色が特長だが、焼酎としては流通できないため、食物繊維を少量加え、リキュールとした。だが、食物繊維は海外では添加物とみなされる可能性もあり、本当は加えたくないという。

 輸出はノウハウがあるしょうゆメーカー、フンドーダイ(熊本市)が引き受け、フランスの高級レストランなどでの提供を目指す。新型コロナウイルスの影響で外食業界の正常化はまだ先とみているが、土師さんは「豊かな香りをまとった日本古来の蒸留酒は、欧米で受け入れられる」と自信を見せる。

 別の九州の焼酎メーカーからはこの規制について「付加価値を高める好機を逃し、輸出の妨げになっているのでは」との声が上がる。ウイスキーと焼酎の税率が一本化された今、「色規制をやめて焼酎に自由度を与えてはどうか」と土師さんは見直しを訴える。

 九州は焼酎の一大生産地だが国内消費が伸び悩み、海外での販路拡大に活路を見いだそうとする社もある。過去にとらわれない規制緩和ができれば、木樽で長期間熟成した芳醇(ほうじゅん)な焼酎が、再び浮上する切り札になるかもしれない。 (布谷真基)

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