時が醸し出す優美さ 特別展「奈良 中宮寺の国宝」

 今風に言えば「アンチエイジング」だろうか。約1400年前の刺しゅうは、驚くほど色鮮やかだった。九州国立博物館の特別展「奈良 中宮寺の国宝」で展示している国宝「天寿国繍帳(しゅうちょう)」。時間の流れを感じさせない姿を前に多くの人が足を止めていた。

 中宮寺(奈良県斑鳩町)は7世紀の創建。江戸初期までに公家や皇室が入寺する門跡寺院となった。尼寺に伝わる逸品は優美さにあふれる。金地に鳥や草花をあしらった「花鳥散図襖(かちょうちらしずふすま)」は寺の一室で使用しているもの。お香や香水を入れる鎌倉時代の銅製法具「灑水器(しゃすいき)・塗香器(ずこうき)」は今でも勤行で用いている。

 展示の最後に国宝の本尊「菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしゆいぞう)」がお目見えする。円形の展示室中央に安置され、360度思い思いの角度から堪能できる。黒くつややかな菩薩像だが、制作当初は彩色や装飾が施されていたという。いつの頃からか黒い漆の地が現れ、今の姿に近づいていった。繍帳とは違って、こちらは時間を重ねた深みを感じさせる。

(文・小川祥平、写真・納富猛)

▼3月21日まで、九州国立博物館

 特別展「奈良 中宮寺の国宝」 3月21日まで、福岡県太宰府市の九州国立博物館。奈良県斑鳩町の中宮寺にある二つの国宝、「天寿国繍帳」(2月21日までの限定公開。23日からは明治期の模本を展示)と「菩薩半跏思惟像」など89件を展示している。一般1800円など。日時指定のオンライン予約を推奨するが、当日券もある。問い合わせはNTTハローダイヤル=050(5542)8600。 

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