どこまでやれば…校内消毒、教職員の負担重く
学校現場が新型コロナウイルスの“侵入”に神経をとがらせている。「第3波」では長崎県内でも児童生徒や職員の感染が確認された小中学校が相次いで臨時休校。保護者の心配の声もあり、学校側は感染防止を徹底せざるを得ないのが実情だ。一方で、教室などの消毒作業は教職員の新たな負担になっている。
全校児童が下校した夕方、長崎市立山里小で校内放送が流れた。
「消毒タイムの時間です。先生方、消毒をよろしくお願いします」
職員室などから廊下に出た教職員の手にはビニール手袋とアルコール消毒液。手分けして学級棟1~4階と音楽室などの特別教室が入る棟1~3階の共用部分を回る。消毒箇所は水道の蛇口、トイレや教室の扉などさまざまだ。
平日は毎日行う消毒タイムは3学期の始業式に合わせて同小が独自に始めた。これまで児童や教職員の感染者は出ていないが、県内での「第3波」を受け「より引き締めた」(山崎直人校長)。消毒を黙々と続ける3年生担任の女性教諭は「子どもが安全に過ごすためなので」。放課後の作業には翌日の授業の準備時間などを割きながら取り組んでいるという。
長崎大が昨年、県内の教職員2130人を対象に行った新型コロナの影響に関するアンケートで、「学校教育に対する支援に何を望むか」という質問(複数回答)では「消毒作業」が6割近くに達している。
それでなくてもコロナで学校現場には新たな負担が生じている。児童が毎日提出する健康管理表のチェック、音楽のリコーダーや家庭科の調理実習といった一部科目のカリキュラムの見直し、学校行事の中止・延期への対応…。
「教職員が1人、疲労で倒れたら他の人の負担が増える。本当は消毒のためのスタッフがいればありがたいが」(山崎校長)
学校はどこまで感染に気を付ければいいのか。
文部科学省が学校現場に示した感染防止対策のマニュアルは、大勢が手を触れるドアノブや手すりなどは1日1回の消毒を求めている。ただ、通常の清掃活動の一環として行ってもよいとしており、「消毒作業を別途行うことは感染者が発生した場合でなければ基本的に不要」だ。
長崎市教育委員会によると、文科省のマニュアルを参考にした上で、消毒作業をどこまで行うかは各校の判断。「教職員の負担が増えているのは確か」(学校教育課)で、毎月実施している校長会議で各校のコロナ対応の現状を共有し、教職員向けの研修をリモートにして負担軽減に努めているという。 (坪井映里香)