東北で震度6強 「10年」で終わりではない

 その時期だけでなく、強さや規模においても「あの日」を想起させるに十分だった。今後もさらなる警戒が必要だ。

 福島県沖を震源とする大きな地震が13日夜、東北を中心に東日本を襲った。福島、宮城両県で最大震度6強を観測した。宮城県の石巻港では高さ20センチの津波も観測された。

 東日本大震災から来月で10年を迎える被災地では、今も復興や生活再建に向けた取り組みが続いている。「3・11」に向けて犠牲者の鎮魂行事の準備に追われている人も多い。さらに今は新型コロナウイルスとの闘いのさなかでもある。

 10年前の大地震の余震だという。震源一帯では海洋プレートが大陸側に潜り込み、数百年周期で津波を伴う大地震を発生させている。地球の活動にとって10年という年月は「一瞬」とも呼べないほど短く、人間が考える「節目」とは無縁だ。

 時の経過に伴い、備えが甘くなってはいないか-。福岡沖地震や熊本地震を経験した九州の私たちにも、改めて警鐘となったと受け止めたい。

 今後も当分、同規模の地震に注意が必要だ。30年以内に大津波を起こす地震発生の可能性も引き続き高いとみられている。

 最も懸念されるのは、大震災時に史上最悪級の事故を起こした東京電力福島第1原発への影響である。現在も廃炉作業が続く一方、放射性物質の濃度が高い汚染水が発生し、周辺地域では除染作業が続いている。

 東電によると、今回の地震では使用済み核燃料プールなどから水の一部があふれたが、外部への影響はないという。次なる津波に備えて汚染物質の管理を徹底しなければならない。設備に目立った異常はないと報告されている宮城県の女川原発や、茨城県の東海第2原発も改めて総点検が必要だ。

 喫緊の課題は多くの負傷者や避難者のケアである。広範囲で停電や断水が発生し、医療機関にも影響が出ている。

 福島県相馬市の常磐自動車道で斜面が崩れて通行止めとなったり、東北新幹線などが運転を見合わせたりするなど交通網が受けた打撃は深刻だ。

 コロナ禍の感染対策に十分な注意を払いながら、過去の大規模災害で培った自治体間の連携やボランティア受け入れといったノウハウを生かしたい。

 特に福島県は独自にコロナ禍の緊急事態宣言を出していた。休業中の飲食店が今回の地震で被災し、予定していた営業再開を断念する例もあるだろう。

 家族や故郷を奪われ、今も続く苦悩を増幅させるかのような地震だ。行政と民間が一体で、きめ細かな支援を続けたい。

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