「HKTがより熱い集団に」 『劇はじ』がもたらす変化と可能性

Fの推しごと~2021年2月

 20日に初日を迎える「HKT48、劇団はじめます。」(劇はじ)。フルリモート演劇の雄、「劇団ノーミーツ」の後押しで、メンバーが裏方から役者まで公演の全てを担う前代未聞の挑戦も、いよいよ本番が近づいてきた。制作過程を一つの作品のように公開していく中で、1月下旬にはメンバーが現状を独白するドキュメンタリーも登場、見る側を刺激している。

 「48グループ自体が後退しているように思われているけど、その中でも、がむしゃらに前に進もうとしているやつらもいるんだよっていうのは見せつけたい」

 ユーチューブ公式チャンネルで公開されたドキュメンタリー「第0話」の冒頭、田島芽瑠(21)は言い切った。

 NHK紅白歌合戦の1番手で「メロンジュース」を披露したこと、指原莉乃をはじめとする中心メンバーの卒業、そして新型コロナウイルス禍…。過去の晴れ舞台と、厳しいグループの現状について率直な思いをメンバーが口々に語る中、話題は紅白歌合戦から姿を消した48グループそのものに及んだ。

 「私たちって低迷期というか…」「名前は知ってるけど、誰がいるの? 何やってるの? とかが多いと思う」「『あー48ね』って言われるのはすごく悔しい」「頑張りと人気は比例しない」。生々しい言葉が続く中、地頭江音々(20)はとつとつと続ける。「みんなで頑張っている、走り抜けたいっていう時期のHKTに、もう一回なれたらいいのかなって思います」

 ドキュメンタリーの成島克俊監督によると、本来は公演終了後に公開する予定だったが、「彼女たちの魅力を伝えるために」と前倒しが決まったそうだ。

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 上演に向け、劇団ごとに準備が進む。どういった手順で進行するか。舞台の内容はもちろん、協力企業とのやりとりもある。企画書や依頼文、予算まで自分たちで担う中、変化を見せるメンバーも出てきた。

 「ミュン密」でプロデューサーを務める馬場彩華(16)は当初、企画に参加しないつもりだった。だが、思いをうまく言葉にできない自分を変えようと翻意。「悩んで迷っているということは、心の中にやりたいっていう気持ちがあるってことなんだろうな」。選んだのはプロデューサーという大役だった。

 馬場プロデューサーの仕事っぷりに、成島さんは「しっかり仕切ったり連絡したり、話を前に進めていく力がある」と目を細める。「(舞台で)泣きだしちゃう姿から、18人を束ねる立場への変化はファンにも楽しんでもらえるところだと思う」

 同じ「ミュン密」で宣伝・広報を担当する小田彩加(22)は積極的な姿勢でスタッフの評価を得た。得意なイラストを生かしてビジュアルのラフデザインも担当。資料作りでも、考えを巡らせ「こんな感じですか?」と確認してくる。しっかりと考えた上での行動だと伝わるのだそうだ。

 「ごりらぐみ」でプロデューサーを務める地頭江は当初、宣伝・広報が第1希望だった。プロデューサーは3番目だったが、責任感やアイデア力に目を留めたノーミーツ側が変更を打診した。メンバーの考えや意見をまとめなくてはならない時、自身の意見をうまく伝えられず涙を見せることもあったが切り替えた。「私が不安がっていてはだめだと思うから、決めてきます」。そう語る姿に、成島さんは「あ、変わったな」と目を見張った。

 変化があったのは「劇はじ」の参加者だけではない。山下エミリー(22)は、日々奔走する仲間たちの姿を見て「自分も何かしたい」と訴えた。メンバーの奮闘ぶりを伝えたいと始めた「エミはじ」をユーチューブで公開。自分で編集を担当し「映像の切り取り方と勘が抜群」(成島さん)と評価も高い。

 昨年10月に始まった「劇はじ」。成島さんは「オンライン演劇のスキルを余すことなくたたき込んでいる。『次はノーミーツさんたちとやらなくていいよね、私たちだけでつくっちゃおうよ』と言って、つくれるところまで仕上がったら最高」と期待する。

 現状に危機感を抱き、打破しようともがくHKT48。ノーミーツ主宰の林健太郎さんは「『こうやればできる』と、より具体的に提案できる力を得れば、もっとメンバーから企画が上がる。より共闘関係ではないが、HKTというチーム全体が、より活気のある熱い集団になると思う」と、グループ全体の変化も予見する。「劇はじ」はグループのあり方に新たな“革命”をもたらすかもしれない。 (古川泰裕)

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