死後も暴力の影におびえ。私は「鬼」にならない

#生きづらさ抱えて 02―――

 リナ(23)=仮名、福岡県=は小学生の頃、音楽の授業が憂鬱ゆううつでたまらなかった。2歳下の弟、4歳下の妹と3人でリコーダーは1本だけ。「お姉ちゃん、貸して」。休み時間に貸し借りし、授業が重なれば弟や妹が優先。「なんで持っとらんと?」。男子にからかわれ、ぐっと我慢した。

 家族は兄も含めて6人。両親は働かず生活保護に頼った。5歳の時に離婚。父親、弟との3人暮らしが始まり、2年後には兄と妹も加わった。しばらくすると母親が彼氏を連れてやって来た。いびつな家だった。

 「何でここにおるとや」。友達と遊んでいても父から連れ戻されるようになる。待っていたのは洗濯や掃除。「頭が悪いんやけん無駄」と宿題もさせてもらえなかった。家族一緒に公園で遊んだ記憶さえない。友達もいなくなった。

 母が彼氏と家を出たのは小3の時。父は覚醒剤に溺れ、パチンコ店に入り浸った。お使いを間違えると「役立たずの豚が」とキレ、「目つきが悪い」と浴槽の水に顔を沈められた。

「人生終わる」。寸前で踏みとどまった

 中学ではバレーボール部に入りたいな―。ささやかな希望も「そんな暇があれば家のことをしろ」という父の一言で閉ざされる。

 高校には進学しなかった。「貧しいから何もできない」。昼間に家事をこなし、夕方からは飲食店でアルバイト。月5万~6万円の給料の大半は父に渡した。

 17歳だった。突然、家で父に押し倒され、犯される。寝込みを襲われることもあった。「嫌だけど拒否しなかったら、もっとひどい暴力はなくなるかも」。気持ちを抑え込もうとしたけど「殺したくて、殺したくて」。布団の中で包丁を握り締めた。...

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