官邸主導の橋本氏一本化 「意のままに操れる」

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が、新会長候補を橋本聖子五輪相に一本化し、就任要請することを決めた。背景にあるのは、首相官邸の意向だ。東京大会誘致に尽力した安倍晋三前首相、自民党の文教族議員、菅義偉首相と良好な関係にある橋本氏がトップに座ることが、「組織委を意のままに操縦するのに好都合」(官邸関係者)と判断したとみられる。

 「(新会長の候補者検討を)こうすべきだとか、さすがに私の立場では申し上げることではない」。首相は17日の衆院予算委員会でこう答弁し、政府として新会長選任に関与しない姿勢を強調した。だが、額面通り受け取る向きは少ない。

 森喜朗会長が女性蔑視発言をした直後、首相は表面上は組織委に深入りしないポーズを取りつつ、当初は続投路線で事態収拾を急いだ。国内外の批判が高まり森氏辞任が避けられない情勢とみるや、「橋本氏リリーフ」にギアを切り替えて働き掛けに入ったもようだ。

 複数の関係者の話を総合すると、首相は加藤勝信官房長官らを伝令役とし、組織委中枢と複数回にわたり接触させたという。

 森氏が、川淵三郎氏を自身の後継に指名したとの報に接すると、同意できないとのメッセージを繰り返し伝えた。「首相は、川淵氏が『無観客開催の可能性』を否定したことに特に憤っていた」(官邸筋)。同時に「女性が適任」との意向も念押しした。すなわち、橋本氏のことだった。

 なぜ、首相は橋本氏にこだわったのか。

 夏季と冬季の計7回出場した実績から「五輪の申し子」と呼ばれ、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ海外のスポーツ界にも顔が広い上、安倍前内閣の閣僚として昨春の東京大会1年延期の経緯も熟知している。男女共同参画担当も兼任しているため、ジェンダー平等社会に明るいと国内外にアピールできる…。

 それ以上に、橋本氏の政治的スタンスが主な理由との見方が、永田町周辺で一致するところだ。安倍氏のほか、現職の萩生田光一氏ら文部科学相を数多く輩出した自民党細田派に属し、派内では「マスコット的存在」(自民幹部)。加えて、上昇志向はそれほど強くないとされ、官邸関係者は「扱いやすい点も安心だ」と首相の胸中を代弁する。

 ただ、細田派OBでもある森氏のことを「お父さん」と呼ぶほど親しい間柄で、森氏の「院政」を呼ぶ可能性も指摘される橋本氏。2014年ソチ冬季五輪の打ち上げ会で男子選手にキスしたことが報道され、騒動になった過去も。政府、与党内には就任を快しとしない声もあり、自民中堅議員は「まだ一波乱あるかもしれない」と楽観を戒めた。 (東京支社取材班)

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