有明海ノリ、ピンチ「カモ」 福岡や佐賀で食害拡大

 有明海特産の養殖ノリが、冬季に飛来するカモに食べられる被害が広がっている。沿岸4県のうち福岡、佐賀、熊本では被害の確認や報告があり、漁業者による対策もまだ限定的だ。そうした中、行政も光や音を使った被害防止のための実験を始めるなど対策に乗り出した。

 福岡県によると、2018年度はカモ食害で約1900万円の損害が出た。爆音での追い払いや銃による駆除で一定の効果があるというが、被害は横ばいで推移。熊本県も「漁協を通じて被害は認識している」。佐賀県は被害調査はしていないが、今後は県有明海漁協と被害状況の把握や対策を協議する方向だ。

 実態がまだ明確につかめていない食害だが、同漁協鹿島市支所は、猟銃での駆除や爆音での追い払いなどの対策を取っている。ただ年800万円ほどの経費がかかるほか、カモが音に慣れるなど課題も多い。小池政勝支所長は「被害は年々ひどくなっている。一部の養殖場は根こそぎ食べられるなど、漁師から悲鳴が上がっている」と話す。

 行政も新たな対策に向けて動き始めている。

 佐賀県鹿島市は1月22日、カモへの効果を確認するため、発光ダイオード(LED)を使った実験を実施。市内の海岸付近3カ所で、浜松市の光学機器メーカー「パイフォトニクス」が開発した特殊な投光器から群れに光を当てると、ため池の一つにいたカルガモ約50羽が飛び去った。

 鹿島市では18年度、推定約2千万円(生産額の1%相当)の被害があった。沿岸の干潟の一部はラムサール条約登録湿地のため、市はカモを駆除するのではなく、ノリを食べる時間帯に養殖場に近づかないようにするため「光」に着目した。カモ用にノリ養殖網を設置する構想もある。

 また、佐賀県も本年度から約200万円の予算で実証実験を始めた。鳥獣害防止装置を製造販売する「ECO-5」(同県多久市)が県の委託を受けて鹿島市沖で2月まで、タカなど猛禽もうきん類の鳴き声やライフル音などを鳴らす装置でカモを追い払う。音の種類を変えてランダムに鳴らすため、同社の永野洋一社長は「音が鳴っている間はカモが寄りつかない」と手応えを感じている。 (河野潤一郎、北島剛)

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