携帯の新料金 大手3社の寡占を許すな

 携帯電話の料金が下がるのは歓迎したいが、大手3社による市場の寡占化が進むのは好ましくない。総務省は競合する格安スマートフォン事業者の声にも耳を傾け、公正な競争が保たれるよう手を打つ必要がある。

 菅義偉政権の値下げ要請に応えた大手3社の新料金プランが出そろった。これまでより大幅に安く、それぞれ3月にサービスを始める。選択肢が増えるのは利用者にとっても朗報だ。

 主力ブランドへの新プラン発表は最大手のNTTドコモが先行した。データ容量20ギガバイトで5分以内の国内通話無料とセットで月額2980円という、格安スマホ並みの低料金である。

 追随したKDDIとソフトバンクは無料通話を外してドコモより500円安いプランを設けた。サービスに一部違いはあるものの、無料通話の分を加えた料金は実質横並びとなる。

 申し込みやサポートをオンラインに限るなど、3社ともコスト削減のためサービスを絞り込んだ。各社が提供してきたメールサービスは使えないとの注意点もある。契約の乗り換えやプランの変更は、実際のデータ使用量やサービスの違いを把握した上でよく検討すべきだろう。

 新プラン導入を軸とした大手の攻勢で、後発組の楽天モバイルが料金体系を見直すなど業界全体が対応を迫られた。特に打撃が大きいのは格安スマホ業者だろう。大手との料金差が縮小し、場合によっては大手の方が安くなるケースもある。

 格安スマホ業者は自前の通信設備を持たず、大手から回線を借りて安い料金や多様なサービスを実現してきた。通信業界の競争を促進する総務省の後押しもあり、シェアを13・4%(昨年9月末)まで高めてきた。

 格安スマホ業者にも値下げの動きはあるが、経営体力が乏しく一部にとどまる。回線を借りるために大手に払う接続料がネックになっている。このまま大手の新プランに対抗できなければ死活問題ともなろう。

 公正な競争の結果、業界内の淘汰(とうた)が進むのはやむを得ない。とはいえ政府の圧力による大手の値下げで、順調に成長してきた格安スマホ業者が退場に追い込まれるのは看過できない。

 総務省は昨年10月、携帯電話市場の公正な競争環境を整えるための計画で、接続料を3年以内に半減する目標を示した。格安スマホ各社は引き下げの前倒しや一段の低減を求めている。大手と格安スマホ業者が適正なルールの下で競争できるよう、早期に適切な接続料の在り方を検討し、具体化すべきだ。

 電波は公共の財産である。多くの事業者が多様なサービスを提供する状況が望ましい。

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