「まだ早い」政府、緊急事態解除に急ブレーキ

 福岡県を含む10都府県に発出中の新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言で、早期解除の機運が急にしぼみつつある。代表的な指標の新規感染者数は相当減少してきているものの、専門家は「減少スピードの鈍化」も指摘。政府は当初、ステージ3(感染急増)に入れば―としていた宣言解除基準を、ステージ2(感染漸増)に確実に移行できるレベルまで改善していること、と厳格化した。期限は3月7日だが、どうなるか。

 田村憲久厚生労働相は19日の記者会見で、宣言解除について「十分に新規感染者の減少を達成しないと、次に向かっていろんな活動を始めるときにまた大きな(感染の)波になる」と述べ、現時点では時期尚早との考えを示した。菅義偉首相も今週前半、閣僚から判断時期を問われ、「まだ早いんじゃないか」と答えている。

 今月2日に、10都府県を対象に1カ月間の宣言延長を決めた時点では支配的だった「経済へのマイナスを最小限にとどめるべく、できるところから早期に解除していく」(首相周辺)との前のめり感からは程遠い。ステージ4(爆発的感染拡大)に近い方のステージ3では解除しない、と政府が方針転換したのには契機があった。感染症対策を提言する経済学者から「三たびの宣言発出に至れば、それこそ経済は致命的なダメージを負う」との警告が上がったことだ。

 東京大の経済学グループが、1日平均の新規感染者数が十分に減っていない状態で宣言を解除した場合、その後にリバウンドで到来する“第4波”の死者数と、3度目の宣言発出による経済損失額は甚大になる、とのシミュレーション結果を公表。政府も、まずは現在の第3波を徹底的に鎮圧し、「何としても再拡大を回避する」(西村康稔経済再生担当相)方向にかじを切ったのだ。

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 17日に医療従事者から始まったワクチン国内接種の今後の進捗(しんちょく)や、各地で確認され始めた変異株の及ぼす負のインパクトがどれぐらい大きいかが不透明なことも、政府を慎重にさせている。

 とりわけ、首相官邸が「強烈に意識している」(省庁幹部)のが東京五輪・パラリンピックだ。新型コロナの感染状況は事実上、開催可否、観客をどの程度入れるかの判断に直結する。国内外の世論が、東京大会を容認できる水準まで流行を抑え込んでおかねばならないことも、「今のうちにウイルスをたたいておく」(政府関係者)戦略の優先につながっている。

 一方で、地域経済と雇用を預かる10都府県の知事からは、宣言解除を政府に働き掛ける動きが出始めた。来週にかけ、加速していくのは間違いない。

 実際に、解除の目安となる指標は18日時点で、東京、埼玉、千葉、福岡の4都県を除き、いずれもステージ3以下を達成した。福岡は、コロナ病床全体の使用率がステージ4に該当しているが、54%(18日時点)という数値自体はステージ3の50%未満に相当近づいており、他の指標の中には既にステージ2に入っているものもある。

 官邸筋は来週後半にも、解除可能な地域があるか否かを判断するとしている。 (東京支社取材班)

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