温暖化、コロナ…バイデン予想外の存在感 「脱トランプ」を誇示

 【ワシントン田中伸幸】バイデン米大統領が就任して20日で1カ月を迎えた。19日には初の先進7カ国(G7)首脳テレビ電話会議に臨むなど、存在感をアピール。トランプ前大統領の政策を覆す大統領令を連発し、政権交代の成果を示そうとする姿勢が鮮明だ。ただ、地球温暖化対策など、保守層の抵抗が強い政策に前のめりな対応は早くも反発を招き、台頭する中国への対抗策にも不透明感が拭えず、懸念は尽きない。

 19日午前にG7会議に出席したバイデン氏は、その直後に安全保障関連のオンライン国際会合で演説。「米国は米欧同盟に戻った」と強調し、イラン核問題などを巡り、トランプ前政権下で関係が揺らいだ欧州との伝統的な連携の復活を改めて世界に印象づけた。

 午後には中西部入りし、新型コロナウイルスワクチン製造拠点を視察。「ワクチン接種は安全だ」と訴え、喫緊の課題であるコロナ禍の年内収束へ注力する姿勢も演出してみせた。

 バイデン氏は大統領就任後、自ら情報発信する場を頻繁に設定。トランプ氏に比べれば地味とはいえ露出度を高めようとしてきた。78歳と高齢で健康面が不安視されたが、こうした積極的な行動には民主党支持者から安堵(あんど)の声が漏れる。

 野党共和党との政治的な融和を唱える半面、気候変動問題を軽視したトランプ氏が打ち出した環境規制緩和から、規制強化へと強引に方針転換を図る政権運営は意外性を持って受け止められている。穏健派のバイデン氏を「守旧派」と批判してきた党内左派支持の30代男性は「もっと慎重に始動すると思っていた。予想外だ」と驚きを隠さない。

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 「脱トランプ」政治を徹底し、変化を示そうと躍起のように映るバイデン氏。その背景には、自身が副大統領を務めたオバマ政権が、高い理想に基づく「チェンジ」を訴えながら十分な成果を示せず、徐々に失速した経験を踏まえた「反省」があるとの見方がある。

 しかし、化石燃料を重視したトランプ氏のエネルギー政策を否定し、就任早々に原油を運ぶパイプラインの建設許可を撤回するといった強硬な対応に、地方の労働者らは「失業増を招く」と猛反発。銃規制強化などに突き進もうとする姿勢も保守層を強く刺激する。

 日本政府関係者からも、再生可能エネルギーの導入推進など温暖化対策重視の姿勢は歓迎する一方、「温暖化問題にかなりのめり込みそうな印象で、日本が重視したい安保や経済が後回しにされかねない」と懸念する声が漏れる。

 バイデン氏は19日の演説で、中国に対し「競争が激化するだろう」と警戒心を隠さず、トランプ前政権と同様、強硬姿勢を重ねて示した。ただ、日本とどう協調体制を構築するかなど、具体策は依然見えない。

 保守系シンクタンク、ハドソン研究所のウォルターズ日本部副部長は、バイデン政権が人権や台湾問題などについて、中国に毅然(きぜん)とした態度を示している点には一定の評価を示す。その半面「中国がバイデン政権を試そうとする局面も想定され、米中関係には多くの懸念がある」と指摘する。

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