「幸運を呼ぶ橋」コロナの試練 国際観光都市目指す釜山

 世界的な国際観光都市を目指す釜山市の取り組みに新型コロナウイルスが影を落としている。昨年1月に韓国政府の観光育成事業に選定され、2024年までに1500億ウォン(約144億円)を投入して新たな観光資源開発を進めるが、コロナ禍が収束しなければ海外からの観光客は見込めない。「想定通り経済効果があるのか」との懸念もくすぶる。 (釜山・金田達依)

4カ国語対応サイト、記念品開発

 釜山市は1年かけて基本計画を策定。その中で新たな観光の目玉として着目したのが海岸沿いの七つの橋だ。各橋を「幸運を呼ぶ橋」と位置付け、それぞれに集客できる特色を持たせる。これまでにバンジージャンプや噴水に照明を当てる「光の滝」づくりを検討。日本でも知られる広安大橋では、高さ数十メートルの主塔に登る体験ツアーや新たな形式の夜間ライトアップを計画する。

 橋以外にも、国際的な人気のある映画の撮影地を巡るツアーを企画。今年下半期には水陸両用バスの導入を予定し、水辺の景観を楽しめるよう工夫を凝らす。

 知名度不足を解消するため、会員制交流サイト(SNS)を積極活用してPRにも力を入れる。増加する個人行者向けに観光コースを紹介する4カ国語対応サイトを昨年開設した。「特色のある土産物がない」(観光関係者)という声を受け、記念品開発も着手した。

 韓国政府が釜山市の国際観光都市づくりを後押しする背景には、ソウルに集中する外国人観光客を地方に振り分ける狙いがある。韓国文化体育観光部によると、19年の外国人入国者約1750万人のうち76%がソウルを訪問したが、釜山は14%にとどまった。釜山の観光産業が成長すれば「韓国全体の観光客数の底上げと経済活性化につながる」(市観光振興課)と青写真を描く。

高層ビル群を背景に光の文様が浮かび上がる広安大橋のライトアップ予想図(釜山市提供)

外国人客途絶え「持ちこたえられるか」

 ネックとなるのがコロナ禍だ。釜山市は「21年下半期か22年から観光産業は回復する」という国連世界観光機関の展望を基に、基本計画を推進する方針。だが、南アフリカで見つかった変異株はワクチンの効果が薄いとする研究結果もあり、コロナ禍がいつ収束するかは見通せない。

 市は外国人入国者の釜山訪問を24年に23%まで引き上げる目標を掲げるが、旅行需要の回復が遅れれば達成は難しい。期待する約5兆7千億ウォン(約5480億円)の経済効果と約9万8千人の雇用創出効果も実現は困難となる。

 現時点でも市内観光業への打撃は深刻だ。繁華街は外国人客が途絶え、閉店が相次ぐ。ある観光関係者は「将来のための計画は進めるべきだが、そこまで持ちこたえらないかもしれない」と明かす。

 動画投稿サイトユーチューブ」で、釜山情報を発信するチャンネル「わぼいそ釜山」を運営する昆雅之(こんまさゆき)さん(47)は「しばらく海外からの観光客増加が望めない今は足りない部分を補い、強化した方がいい」と指摘する。乱立する行政の情報サイトは外国人観光客にとって使い勝手が悪いため「旅行者がこれをしたいと思った時に、情報集めから予約までできる総合サイトを早く作るべきだ」と強調する。宿泊費や飲食費以外の観光消費が伸びない現状にも触れ「市内に金が落ちる仕組み」づくりの必要性を訴えた。

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