どこの町や市にもある「役場(役所)」。何をしている場所だか知っていますか? みなさんが学校や児童館を快適に使えるのも、地震や大雨の時に避難所が開かれるのも、役場で働く人たちがいるからなのです。こども記者6人が福岡県篠栗町の役場で職員や町長に話を聞き、どんな仕事をしているか取材しました。
役場の中はとても静かで、職員たちはパソコンとにらめっこをしているかのようだった。15の課と議会事務局があり、約300人が働いている。まちづくり課の熊谷重幸課長(54)が「役場の仕事は、住民の皆さんがこの町に住んで良かったと思ってもらえるようにすること」と説明した。
「住民課」「福祉課」などさまざまな「課」に分かれている役場の中を見学した
町民に必要な情報や町の魅力を発信する広報紙(手前)を作る仕事も体験した
まちづくり課は「5年先にどのような町にするか」という計画を立てたり、行事や相談窓口、町の取り組みなどの情報発信をする広報紙を作ったりしている。
福岡県福津市に住むこども記者が「福津市には『うみがめ課』がある。篠栗ならではの活動はありますか?」と質問すると、森林セラピーを紹介してくれた。町の7割が山林であることを生かし、町外から来る人々に自然の中で心身を癒やしてもらうという。担当する産業観光課では遊歩道を整備し、パンフレットを作るなどしているそうだ。
総務課の中には消防防災係があった。係の職員は「大雨警報などが出ると夜中でも役場に来て避難所を準備して災害に備える」と言っていた。学校や児童館などを管理する課もあった。みんなのために毎日働いてくれていることに感謝の気持ちでいっぱいになった。
森林セラピーや町内の名所を紹介するパンフレットの説明をする産業観光課の職員
役場のリーダーであり、町民に選挙で選ばれる町長の部屋を訪ねた。町長17年目の三浦正さん(66)が「この部屋には日々、いろいろな課の人たちが仕事の相談に来ます」と説明した。月に10日ほどは、全国の町長と意見交換などをするために出張しているそうだ。
パソコン画面を見ると、和牛とめんたいこの写真が映っていた。「ふるさと納税の返礼品に二つの商品を追加したい」と職員が提出した電子データだという。三浦町長は内容を確認し、「いいですよ」と言って画面をクリック。これが「決裁」の仕事だと教えてくれた。
お客さんが訪ねてくる応接室にも入れてもらい、町長になった理由などをインタビューした。
<篠栗町のデータ>
人口:約3万1500人
面積:約40平方キロ
交通:福岡市内から約12キロ。電車や車でも約20分。
観光:森林セラピーの他、八十八カ所の寺院などを全て巡ると願いがかなうとされる「篠栗四国霊場」が有名。年間100万人の参拝者(お遍路さん)が訪れるという。町内在住のこども記者たちは「よくお遍路さんにお寺の場所を聞かれます」と話す。
【取材したこども記者】
■梅野陽向記者/福岡県篠栗町・勢門小4年
町長さんは森林セラピストの資格を持っているそうだ。僕も授業で「九大の森」に行ったことがあり、気持ちが落ち着いた。町の良さを教えてもらい、住み続けようと思った。
■梅野響己記者/福岡県篠栗町・篠栗中1年
町長室に入った瞬間、目に飛び込んできたのは3台のパソコンとさまざまな有名人との写真だった。地元でも知らないことがたくさんあったので勉強していこうと思う。
■倉掛愛菜記者/福岡県大野城市・大野小5年
一番すごいなぁと思ったことは山林が7割ということ。イベントがある場合は住民から電話での質問がよくあるので、ホームページなどにも分かりやすくのせているそうだ。
■幸松一瑳記者/福岡県篠栗町篠栗小萩尾分校4年
いろいろな「課」で話を聞き、専門的な言葉がたくさん出てきて理解するのに時間がかかった。町長さんは町の代表として、公平にいろんな人との関係を深めているそうだ。
■坪根未来記者/福岡県福津市・福間東中1年
役場に向かう間、見渡すと山、山、森…。都会ではないが、自然を生かしたキャンプ場やウオーキングコースもあり、自然と向き合って気分転換するのもいいなぁと思った。
■松浦千咲里記者/福岡県篠栗町・篠栗小6年
三浦町長は私の目をよく見て話してくれた。決裁は紙にはんこを押さずパソコンでできるので机の上がさっぱりしていた。私は篠栗町が大好きだ。大人になっても住んでいたい。