二・二六兵士のアイドル

 日本が国際連盟を脱退した昭和8(1933)年、東京のムーラン・ルージュ新宿座に、13歳の少女スターが誕生した。ずっと後の平成の世になって「会いに行けるアイドルの元祖」と振り返られる、明日( あした )待子(まつこ)である。

 その可憐(かれん)な笑顔を見ようと、学生や勤め人たちは新宿駅に降り立つや、劇場の上に立つ赤い風車(ムーランルージュ)を目指し、小走りになった。その中には五十路(いそじ)の知名士である言語学者の金田一京助や歌人の斎藤茂吉がいた。

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