「現代の龍馬になる」海外で起業を目指す高3

シン・フクオカ人(23)

 本当の自由が欲しかったら、自分の頭で考えて一歩踏み出してみるしかない。

 福岡市の福岡大大濠高3年、松本龍之介(18)は20日、アクロス福岡のホールにいた。自ら企画した「What’s コロナ? ぼくらのファースト討論会」で司会を務めるためだ。

 福岡県内の高校7校から8組24人が参加し、「ワクチン接種」「感染症対策」などのテーマでディベートした。

 高校生たちは調べてきた情報を基に、「(ワクチン接種は)重症化と医療崩壊を防ぐために必要」「効果や副反応のエビデンス(証拠)が不足しているから反対」などと意見を戦わせた。ただ、勝敗はつけなかった。問題意識の共有が目的だったからだ。

 きっかけは昨年10月末のこと。学校で周囲に人がいなかったのでマスクを外していると、先生に注意された。そこで疑問をぶつけた。そもそも今の感染症対策は有効なのか、何も考えないで周囲に流されるだけでいいのか。すると「そこまで考えているのなら、討論会をやったらどうか」と勧められた。

 どうせなら他校にも呼び掛けようと、ホームページを作り、会員制交流サイト(SNS)で参加を募った。100校以上に直接電話もして思いを訴えた。通話料はかさんだが、各校の先生たちは好意的だった。

 「コロナ対策に税金を投入したつけは、僕らの世代に回ってくる。だから、僕らが自分の頭で考えないと」

アクロス福岡で開かれた「What’s コロナ? ぼくらのファースト討論会」

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 小学1年の頃、NHK大河ドラマ「龍馬伝」を見て、坂本龍馬にすっかり魅了された。脱藩して明治維新の立役者になった人生を知るにつれ、歴史や社会、経済に興味を持ち、疑問があると徹底的に調べるようになった。スマートフォンの待ち受け画面を龍馬の銅像にするほどだ。

 実は「龍之介」は、龍馬ファンの父親が付けてくれた。「型にはまらない自由な人生」に憧れるようになったのも、自然な流れかもしれない。

 高校に入ると、ビジネスに興味が湧いた。龍馬も海援隊で世界を股に掛けた商売を夢見ていた。ビジネス書をむさぼり読むうちに、実業家堀江貴文の著書「情報だけ武器にしろ。お金や人脈、学歴はいらない!」に出合う。

 終身雇用制度の崩壊、AI(人工知能)の進化など激変する世界で、敷かれたレールに乗っていては普通の人生すら危うい。より自由な人生を送るためには、どうすべきか。考えて出した結論は「起業」だった。

 高校を卒業したら海外に渡り、何か新しいビジネスを立ち上げたい。ワーキングホリデー制度を使って、働きながら起業のヒントを探してみよう。名付けて「ビジネスサーチ留学」。いつかこれも事業になるかもしれない。

 「日本で起業すると言うと、安定しないからと反対されることが多い。だったら海外に行けばいい」

 休校中だった2020年3月、調べたことをまとめて「ビジネスサーチ留学」サイトを作った。公開した記事は100本を超える。

松本龍之介さんのスマホ待ち受け画面は坂本龍馬の銅像

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 卒業後に目指すのはスウェーデン。起業が容易でベンチャーへの投資熱も高い「スタートアップ大国」といわれる。渡航費だけは親に出してもらうが、生活費は自分で稼ぐ。背水の陣で苦労しないと、自分の身にならないと思うからだ。

 寂しさはない。討論会でも多くの仲間ができた。きっと海外でも仲間をつくれるはずだ。

 「このままでは日本は沈んでしまう。自分の信念を持って選択した道が成功だったことを証明して、誰かを助けられる人間になりたい」

 その時、本当の自由が得られると思っている。

 =文中敬称略(加茂川雅仁)

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