ワクチン接種 明確なスケジュール示せ

 新型コロナウイルスのワクチン接種を、円滑に国民全体に広げることができるのか。肝心な政府の計画や発表が二転三転するようでは、国民の不安は募るばかりだ。

 政府は4月1日の一斉スタートを目指していた高齢者に対する接種について「同12日から始める予定」との計画を明らかにした。しかも米ファイザーのワクチン供給量が想定より大幅に少なく、当面の接種は一部の高齢者に限られるという。

 国内に3600万人いる高齢者への接種で、担当の河野太郎行政改革担当相が4月中に供給できると語ったワクチンの総量はあまりに少ない。5月以降の供給見通しも具体的には示されなかった。高齢者の接種が大きく遅れれば、次に対象となる65歳未満もずれ込むだろう。

 政府はワクチンの確保にさらに注力し、早急に供給量や分配日程などの見通しを立て直し、きめ細かく公表すべきだ。

 ワクチンの接種はまず、どの市町村で実施するのか。この点は都道府県が調整役となり検討するという。量が限られるだけに難しい判断と作業を強いられる。地域の感染状況などを勘案し、適切に配分してほしい。

 政府は当初、高齢者の接種開始を3月下旬と想定していた。ところが年が明けると「早くても4月1日以降」に後退した。先週、医療従事者に対する先行接種がようやく始まり、世の中の関心がワクチンに集まってきたこの段階で再びスケジュールの見直しを迫られるようでは、政府の見通しを信じよという方が難しい。

 パンデミック(世界的大流行)が続いて、各国のワクチン争奪が激しさを増す中、日本はかねて出遅れを指摘されてきた。海外製薬3社との合意は早かったが、供給の具体化は遅れ、国内での十分な生産体制も確立できていない。

 ファイザーの主力工場はベルギーにあり、欧州連合(EU)はワクチンの輸出規制を強化している。ファイザーの生産拡大の進み具合で供給量が左右される面もある。製薬会社と綿密に協議を重ね、安定供給を実現することは政府の責務である。

 ワクチンは2回接種が基本だが、政府内には1回接種を検討する声も浮上している。1回でも一定の有効性があるとの研究結果が発表されたからだ。ただ拙速な回数の変更は国民の不信感をあおるだけだ。慎重な検討が必要だろう。

 ワクチンを待つ地方にとっては望んだわけではないが、接種に備える時間的余裕ができたことになる。体育館などを活用した集団接種の訓練を重ね、丁寧に準備を進めてほしい。

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