首相「広報官隠し」払拭狙う? 会見代わり異例の18分ぶら下がり

 菅義偉首相は26日、福岡など6府県を対象に新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言解除を決定した後、記者会見に代わりセットされた「ぶら下がり取材」に応じた。18分間と異例の長さだった。官邸はいったん、会見準備の動きを見せたものの動きをストップ。司会役の山田真貴子内閣広報官が、首相の長男が絡む総務省幹部接待問題で渦中の人となっており、“山田氏隠し”との指摘も出ていた。

 首相は午後7時前、官邸エントランスで記者団の前に立ち、その模様はテレビ中継された。

 会見しなかった理由を問われ、首都圏1都3県で宣言を継続することを挙げて「最後まで状況を見極め、(1都3県の解除)判断を行った後に緊急事態宣言の全体について、きちんと会見を行うべきだ。そういうふうに考えています」と述べた。「山田広報官のことは(会見見送りと)全く関係ありません」と強調した。

 「ぶら下がり取材」は短い時間になるのが通例。だが、この日は記者団から質問が途切れず、コロナ対応の飲食店向け経済支援策、ワクチン接種から、総務、農林水産両省の接待問題まで多岐に及んだ。

 途中からは答弁ペーパーの用意もなく、質問者を一人一人見据えながら質問に答え続けた首相。会見せずとも「(感染抑止で)国民の協力を得られると思うか」とただされ、「今、こうしてぶら下がり会見をやっているんじゃないでしょうか」と気色ばむ場面もあった。最後は「だいたい(質問は)出尽くしてるんじゃないでしょうか。先ほどから同じ質問ばっかり」と告げ、その場を離れた。

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 政府関係者によると、官邸は政府対策本部後の26日夕に会見を開く方向を決め、25日昼には想定問答づくりにも着手したが、同日夕に急きょ取りやめた。内閣記者会の幹事社は26日、緊急事態宣言や首相の長男正剛氏が関与した接待問題など「問うべき質問が多々ある」として会見を要請。官邸報道室は「宣言解除に当たって常に会見が開かれていたわけではない」などとして、応じなかった。

 昨年の緊急事態宣言-。安倍晋三前首相は、5月14日に福岡を含む39県を先行解除した時は記者会見し、次に同21日に関西3府県を前倒しで対象から外した際は、7分間の「ぶら下がり取材」だった。この時は、当時の東京高検検事長が賭けマージャン問題で辞表を出した日と重なり、「追及を避けようと会見を取りやめたのでは」との臆測が出た。

 今回の菅首相の対応はどうだったか。26日、立憲民主党の辻元清美副代表は記者団に「首相が会見を開き、国民に必死に訴える局面だ。(会見だと)山田氏がいて都合が悪いから、開かないのか」と疑問を呈した。自民党の中堅議員は「突然、対応を変えるから“山田隠し”に見える。堂々と会見すれば良かったのに」と話した。(一ノ宮史成、前田倫之)

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