『そして映画館はつづく』

 終わりの見えないコロナ禍で、映画館が、特にミニシアターと呼ばれる小規模の館が存続の危機だという。だが、有志が支援の基金を立ち上げて多額の寄付を行うなど、場所としての映画館は今なお多くの人々に必要とされている。

 本書では関係者の言葉を通じ、映画館の存在意義を探る。取材に応じた12館の支配人たちは「できる限り多くのお客さんと映画を出会わせる」「誰にも開かれた街の文化拠点になる」とそれぞれの針路を語る。情熱はたやすく折れない。俳優の橋本愛(熊本県出身)は「人生がいちばんうまくいってなかった時期」に映画館に通い詰めたそうだ。

 北海道から沖縄まで、全国118館の特色が分かるガイドも所収。ネット配信が人気の昨今、個性的な映画館がこれだけあるという事実はあらためて新鮮だ。苦境での奮闘を伝える貴重な証言集でもある。 (諏訪部真)

(フィルムアート社編刊・2200円)

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