血生臭い「記憶」継承の意味 中村文則『逃亡者』 

酒井信さん寄稿

 中村文則は、理不尽な暴行や虐待などを経験した人物のその後の人生を、彼らを内側から蝕(むしば)む「理不尽な記憶」を通して巧みに描く。土着的・排他的と形容される日本的な価値観や秩序のネガティブな側面と、ドストエフスキーの小説の登場人物たちのように自意識の底で向き合う作風も特徴的だ。本作では「論理に論理...

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