原発容認派も消極的理由 「再エネはまだ不安定」

 8割超が“脱原発”を望む結果となったエネルギー政策に関する地方紙連携アンケート。原発の積極的な推進や既存施設の維持を主張する人からも、原発そのものを手放しで容認するのではなく、「仕方ない」という消極的な容認意見が目立った。

 回答した約6200人のうち「増設や建て替えなど積極的に推進してよい」は5・0%、「40年運転延長を含め、原子力規制委員会の審査を経た原発は維持してよい」は9・9%にとどまった。福岡県粕屋郡の男性会社員(58)も「安定したベースロード電源をしっかり確保することが重要だ」。福岡市の男子大学生(21)は「最終処分場建設と自然エネルギーによる発電コストを下げる取り組みを前提に、つなぎとして運転するのはやむを得ない」と回答を寄せた。

 脱原発と同時に、温室効果ガス削減の必要性を訴える声も多い。削減の方策として多く挙げられたのは再生可能エネルギーの増強や電気自動車(EV)の普及が続き、「原発の建て替えや新増設」は選択肢の中で最少の回答だった。

 ただ、再エネはコスト面などの問題を抱える上、EVが普及すればさらに多くの電力が必要になる。佐賀市の教職員の女性(46)は「オール電化の生活を成り立たせるために原発は必要だ」。福岡市の男性会社員(49)も「再エネは発電の主力にできるほど安定しておらず、コストも高い。現状なら原発の依存度を高めるのが現実的」と訴えた。

 「脱原発」を訴える人からは、生活スタイルの変革を求める声も。福岡市のパート女性(45)は「国民全体が積極的に消費生活を見直すことが必要不可欠だ」と提案した。

 原発や高速増殖原型炉もんじゅが立地する福井県敦賀市に実家がある福岡県内の自営業の女性(49)は「原子力施設の安全さを教育され、福島の現実を突き付けられたときのショックは大きかった」と振り返り、こう呼び掛けた。「原子力エネルギーに頼るのが危険と分かった今、生き方とエネルギーの作り方を変えるべきなんです」

立地・非立地では大差なし

 西日本新聞などの地方紙が連携し、福島第1原発事故から10年を前に実施した全国アンケートは、原発がある13道県からの回答が全体の約3割を占めた。原発のない34都府県と比較すると、原発推進への賛意が多いなど一部で差がみられたが、全体的に大きな違いはなかった。

 事故から10年間での原発に対する考え方の変化を聞いたところ「今も変わらず賛成している」割合が原発立地道県で10・2%と、非立地都府県の7・5%を上回った。ただ、ほかの質問項目で差はみられなかった。

 「再生可能エネルギーのみならず、原子力を含めてあらゆる選択肢を追求する」との菅首相のエネルギー政策の方針についても聞いたところ、「妥当」は立地道県が16・4%、非立地都府県では13・8%とやや開きがあった。

 このアンケートでは、福島原発事故直後と比べ、日本のエネルギー政策に「関心を持っている」「やや持っている」と答えた人が95・5%。問題に高い関心を持つ層が応じた傾向がある。京都府からの回答が最も多く、次いで愛知、新潟、福岡、静岡-の各県の順で回答が多かった。

 (金沢皓介、福間慎一)

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