「びわ湖」有終の記録ラッシュ 日本人初2時間4分台

 びわ湖毎日マラソンは28日、大津市の皇子山陸上競技場を発着点とする42・195キロで行われ、一般参加で25歳の鈴木健吾選手(富士通)が日本人初の2時間4分台となる2時間4分56秒の日本新記録で制した。

 鈴木選手は36キロすぎに飛び出すと、そのまま独走。従来の大迫傑選手(ナイキ)の記録を33秒更新した。3位の細谷恭平選手(黒崎播磨)が2時間6分35秒で日本歴代6位、4位の井上大仁選手(三菱重工)が同8位で走るなど上位5人が日本歴代10傑入りした。

 滋賀県・琵琶湖畔を走るコースの開催は今年が最後で、大会は来年からは大阪マラソンと統合される。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、発着点の競技場は無観客で沿道での応援も自粛が呼び掛けられた。

アベベさんも走った伝統コース「寂しい」

 五輪選考会として名勝負を生み、28日の大会で歴史に幕を閉じた「びわ湖」で衝撃のタイムが出された。無観客の皇子山陸上競技場に掲示された鈴木選手の日本記録は「2時間4分56秒」―。一流の証しとされる「サブテン(2時間10分切り)」達成者は42人。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーも「(日本歴代)ランキングと思わせる成績に1大会でなった。このようなことは世界で初めてでは」と驚きを隠せなかった。

 びわ湖毎日マラソンは、名称が毎日マラソンだった1965年以降、ほぼ毎年、琵琶湖畔のコースで開催された。君原健二さんがメキシコ五輪代表となり、故アベベさんも走った伝統のコースだが、記録には恵まれなかった。昨年までの大会記録は福岡国際、東京と合わせた日本三大マラソンで最も遅い。88年にソウル五輪を決めた瀬古氏も暑さと強風に苦しんで2時間12分台と平凡な記録に終わっている。

 平たんだが、湖畔を走るため、終盤は強い向かい風が待ち受ける。3月開催が多く、気温も高すぎたり、低すぎたりと安定しない。ただ、今回はほぼ無風で日差しもなかった。ほとんどの選手が記録が出やすいとされる「厚底シューズ」を履いて臨み、終盤は気温10度前後の絶好のコンディション。自己ベストを更新した川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)は「一番いいコンディションだった」と振り返り、快走の要因の一つに「(このレースから)厚底に替えたことも大きい」と明かした。

 今大会は国内トップ選手が集結した。2000年のびわ湖でシドニー五輪代表を決めた旭化成の川嶋伸次コーチは「花粉も飛び、時期的なもので敬遠されがちだった」と語る。今年は東京マラソンが新型コロナウイルスの影響で延期に。瀬古氏は「同じくらいの力の選手が切磋琢磨(せっさたくま)して記録につながった」と分析する。

 「最後のびわ湖」も“記録ラッシュ”を後押し。北島寿典選手(安川電機)は「もう一回走れたらと思った」と出場し、リオデジャネイロ五輪代表を決めた16年大会の自己新に迫る2時間9分54秒をマークした。

 「市民マラソン併設型」で高速コースとされる東京が選手に好まれる傾向もあり、大阪マラソンに統合される。旭化成の宗猛総監督は「これが(マラソン界の)流れ。仕方がない」。3度走ったロンドン五輪6位の中本健太郎コーチ(安川電機)は「タフなレース。こういうレースがなくなるのは寂しい」と惜しむ。

 皮肉なことに最後の大会で“定説”は覆された。瀬古氏は「最後のびわ湖にふさわしい、素晴らしいレースができた」と感無量だった。

 (伊藤瀬里加)

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