五ケ瀬町(宮崎県) 銀世界、満天の星の下で深呼吸 

 日本最南端の天然雪スキー場のある宮崎県五ケ瀬町が、観光地としてあらためて脚光を浴びている。コロナ禍が続く中、「3密」を回避できる自然の恵みを生かした観光を提供しているからだ。3月7日までオープンしているスキー場からは阿蘇五岳や九重山が望め、深呼吸すると澄んだ空気が幸せな気分にさせてくれる。地元産ブドウを使ったワインをはじめ、五ケ瀬ならではの食も魅力で、夜ともなれば満天の星がデイナーの雰囲気を盛り上げる。

宮崎県五ケ瀬町の星空。手を伸ばせば星に届きそうだ

 青空の下、五ケ瀬ハイランドスキー場のゲレンデが白銀に輝いている。

 「本当に銀世界。気持ちいいー」

 福岡県から1泊2日で訪れたLOVE FM(福岡市)のDJ、LUE(ルー)さんが雄大な山々を正面に見ながらスノーボードで滑走していく。「五ケ瀬町は初めて。久しぶりのゲレンデで、楽しい」と声を弾ませた。同県から一緒に来たフードアナリスト、たべひとみさんはスノボ初心者で、インストラクターにレクチャーを受けながら滑った。「少しずつ上達させてくれる。どんどん面白くなっていく」と、たべさんも笑顔だ。

 スキー場は1990年12月にオープンした。標高1610メートル。五ケ瀬町が出資する第三セクターが経営しており、ゲレンデは天然雪と人工雪を重ねて白銀になる。最近の暖かさにめげず、雪が作られている。町は「屋外レジャーで3密を避けられる。気を緩めず、コロナ対策をしっかり講じて今季も前季並み(約2万人)の来場は達成したい」(企画課)と話す。

 町内の宿泊施設は食事やホスピタリティー(もてなし)に工夫を凝らす。個性的な農家民宿、民泊施設も数多くある。1日1組限定の民泊施設「CORASITA」(コラシタ)では、代表の藤木浩美さんがイタリア料理を振る舞う。地元のネギを使ったキッシュ、イノシシの赤ワイン煮にメインディッシュはイタリア・トスカーナ地方の家庭料理にもなっているアリスタ(ローストポーク)…。たベさんは「風味がいい」と絶賛した。

CORASITAの「イノシシの赤ワイン煮」

 藤木さんは「地元の食材は使いながら自分のスタイルを磨いていこうと決心しています」と話す。自家菜園で育てたトマトで作るパスタも評判だ。

 デイナーを彩るのが五ケ瀬ワイン。スパークリングワイン、赤、白、どれも100%が五ケ瀬町産。平均標高620メートルの町内は一日の寒暖差が大きく、ブドウ栽培には適地だ。町の第三セクターのワイナリーではランチも提供し、ワインの通信販売にも応じている。

ログコテージのホテル「フォレストピア」

 フォレスト(森)とユートピア(理想郷)を組み合わせて「フォレストピア」と名付けられたホテルは、丸太を使ったログコテージだ。ロビーの大きな暖炉の火は心身を癒やしてくれる。若者らに人気の安く泊まれるキャンプ村もある。

 夜になると辺りは静寂に包まれ、無数の星がきらめく。手を伸ばせば星に届きそうだ。町は隣接する宮崎県高千穂町同様、神話の舞台でもあり、神秘的なたたずまいがある。「いい所。人の温かさにも、じんときた」とLUEさん。たべさんは「五ケ瀬町に五つ星をあげたい」と満足げだった。

 【メモ】宮崎県五ケ瀬町へは、町内の移動を考えると車で向かうのが便利。福岡市内からは九州自動車道の嘉島ジャンクション(JCT)から九州中央自動車道-国道218号を走るのが最も近い。所要時間は町中心部まで約120分。嘉島JCTから約60分。ハイランドスキー場へは近くの駐車場から無料で送迎するシャトルバスが運行している。

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