ミャンマー情勢 軍政はデモの弾圧やめよ

 ミャンマーで国軍がクーデターを起こし、全権を掌握してから1カ月余りが経過した。クーデターに反発する市民のデモは激しさを増している。軍事政権はこれを強硬に抑え込もうとしており、各地でデモに参加した市民が治安当局の発砲により死傷する事態となっている。

 クーデター自体が民主主義を否定する不当な行為であり、市民がそれに抵抗するのは当然のことだ。国軍と治安当局は非武装の市民に対する実力行使を直ちにやめるべきである。

 デモは2月28日にも最大都市ヤンゴンなどで大規模に行われた。治安当局が強制排除に乗り出してデモと衝突、同日だけで少なくとも十数人が死亡したとみられる。憂慮すべき状況だ。

 ミャンマーは長年にわたって国軍が独裁的に国家を統治してきた。2011年に民政に移管し、16年からはアウン・サン・スー・チー氏が率いる政党、国民民主連盟(NLD)の政権が国政を担っていた。

 今回、一度手にした自由を取り上げようとする軍事政権に対し、市民の怒りは強い。デモに加えてゼネストや公務員の職場放棄など、あらゆる手段で軍政への抗議の意思を示している。

 一方で軍事政権はクーデターの既成事実化を進めている。拘束したスー・チー氏を既に四つの罪状で起訴した。拘束を長期化することで、スー・チー氏やNLDの影響力を弱めるのが狙いだとみられる。

 ただ軍事政権側もこれほど市民の反発が大きいとは予想していなかったのではないか。インターネットによる情報交換の発達した現在では、報道統制による世論の沈静化も難しい。

 国際社会も軍事政権への批判を強めている。米国バイデン政権は国軍幹部や関連企業に対する制裁を発動した。欧州諸国にも米国に同調する動きがある。しかし、こうした圧力がどれだけ軍事政権に行動を改めさせるてこになるかは見通せない。

 中国は今のところ、クーデターと一定の距離を置いてみせるが、「内政不干渉」を理由にクーデターを事実上容認すれば、国際社会の足並みは乱れる。

 日本はかつての軍政時代のミャンマーに対し、制裁で臨む欧米とは一線を画し、国軍ともつながりを維持することで民主化を促そうとする「関与政策」を取ってきた経緯がある。

 日本はクーデターを許さない姿勢を明確にするとともに、軍事政権に対し国際社会の批判の強さを伝え、スー・チー氏らの解放や前回総選挙の結果受け入れを説得する役割を果たすべきだ。ミャンマーの民主主義を守るために、国際社会の結束と戦略が試されている。

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