伝統つなぐ「都会の窯元」 旧街道、人気エリアに

エキマチ 福岡市営地下鉄開業40年 藤崎駅(早良区)

 マンションが立ち並ぶ通りから一つ脇に入ると、山里の風景が現れる。江戸期に開かれた登り窯。来訪者は「都会の真ん中にこんなものが」と驚くが、高取焼味楽窯(福岡市早良区)十五代の亀井味楽さん(60)はこう応じる。「この周りが急に都会になりました」

 味楽窯は、市地下鉄藤崎駅(同)から藤崎通り商店街に入り、交差点を曲がって坂を上ったところにある。母屋2階から百道の松林を眺めた記憶が味楽さんには残る。40年前の地下鉄開業でマンションが一気に建つと、視界は遮られた。今でも古民家が空けば、すぐさま集合住宅がふさぐ。

 もう登り窯から煙が上がることはない。窯に火を入れれば近所の迷惑にもなる。ガス窯で陶器を精緻に焼き、「都会の窯元」として伝統をつなぐ。

 この地は今も昔も交通の要衝だ。商店街は旧唐津街道にあり、旧三瀬街道と交わる。藤崎駅近くに藤崎バス乗継ターミナル。修猷館高や西南学院大がある文教地区で、人気住宅地の一つだ。

 旧街道が交差する辺りに明治期の建物。ここで布団を販売する「ふとんのタカオ」取締役の高尾重敏さん(59)は地下鉄開業パレードで一戸建て住宅や個店が並ぶ商店街を歩いた。今ではマンション低層階のテナント店も多く、その時々に入れ替わる。なぜ創業68年を迎えられたのか。高尾さんは「歴史と信用。そして子どもからお年寄りまでがここに暮らし、通りを歩いてくれるから」。住まいと商いが混在する街は往来が絶えない。 (入江剛史)

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 福岡市地下鉄の開業から今年で40年。1981年7月に空港線室見-天神で運行が始まり、その後は延伸を重ね、箱崎線や七隈線が整備された。古今の空気に触れようと、駅周辺の街を巡り、そこに生きる人たちを訪ねた。 =随時掲載

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