首都圏再延長に識者懸念「第4波を先延ばしするだけ」

 菅義偉首相は4日、首都圏1都3県への緊急事態宣言を再延長する意向を改めて示した。期間は2週間程度の方針だが、新規感染者の減少が鈍化傾向にある中、宣言延長だけでは十分ではなく、「第4波の襲来を遅らせるだけだ」との懸念が感染症の専門家に根強い。さらに踏み込んだ感染防止対策を求める声も上がっており、政府が新たな対策や効果的なメッセージを出せるのかが課題になっている。

 「私どもの認識に合致するもので非常にありがたい」。3日夜、厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織の会合後。日本医師会常任理事の釜萢(かまやち)敏氏は、菅首相の宣言の再延長方針を歓迎した。

 1都3県の10万人当たりの新規感染者数は、解除の目安となる「ステージ3」(15人以上)の指標を下回っていたが、日本医師会は会合の直前、宣言の再延長を求めていた。このまま宣言を解除したら、リバウンド(再拡大)する懸念があるからだ。

 新規感染者数の1週間の平均は、1月下旬に前週との比較で5~7割の水準まで減ったものの、直近1週間では神奈川、千葉が9割超、東京は8割超と減少ペースの鈍化が鮮明になっている。病床使用率も千葉や埼玉でステージ4(50%以上)を割ったばかりで、予断を許さない状況が続く。

 約2カ月間も続いた緊急事態宣言への疲れや緩みもあり、飲食店の時短要請に絞った対策を延長しても、効果が薄いとの見方が専門家から出ている。3日の会合では「日中の徹底的な外出自粛」や「飲食店の休業要請」を求める声も上がったという。

 会合で示された資料によると、1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す「実効再生産数」は1都3県で0・9程度と、宣言下でも新規感染者が横ばいとなる1に近づいている。会合後、委員の一人は取材に「ただ延ばしても全然駄目というのが専門家の共通認識。第4波が来るのを2週間遅らせるだけだ」と訴えた。

 変異株の感染が相次ぐ中、歓送迎会や花見など飲食を伴う行事が多いシーズンを迎える。リスクコミュニケーションに詳しい福田充日本大教授は「政府が解除の目安とする基準を首都圏も満たしている」と指摘した上で「なぜ解除できないのか首相自ら説明し、解除の条件を改めて示して丁寧に説得しなければ、国民の行動変容は促せない」と話している。 (久知邦)

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