私権制限、根拠に揺れて 人権、安全のはざまで
【東日本大震災10年 コロナと3・11】
「命を懸けてください。撤退はあり得ない」。東京電力福島第1原発が危機的状況に陥った2011年3月15日未明、当時の菅直人首相が東京・内幸町の東電本店に乗り込み、経営陣らに強い口調で迫ったことはよく知られる。
「経営陣に腹を決めさせた決定打」「あり得ない全面撤退に激高した暴挙」。その行為は今も論争の的だが、論点はそれだけではない。そもそも政府が民間人に対し、生命の危険がある業務への従事を命じる法的根拠があったのか-。
原子力災害対策特別措置法(原災法)は、災害対策本部長(首相)の権限として「事業者に必要な指示をすることができる」と規定する。官房副長官として菅氏を支えた福山哲郎立憲民主党幹事長はこれを根拠に「首相の権限の範囲内だった」と主張する。
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