ヤングケアラー窮地 家族介護、コロナ禍で孤立

 「自分が頑張らないと」-。家族の介護や世話をする18歳未満の子ども「ヤングケアラー」は負担が重くなればなるほど追い込まれやすい。学業に遅れが出たり、進学を諦めたりする傾向も目立つという。政府が初の全国調査に乗り出すなど社会の認知は高まる一方、コロナ禍でさらに孤立して悩みを抱え込む懸念もある。「気持ちを吐き出す場になれば」と、福岡市の当事者団体は6日から月1回の電話相談を始める。

 「話せる大人が一人でもいたらよかったのに」。福岡市の病院職員の女性(32)は小学生でケアラーになった経験を振り返る。

 3年の時、母親が精神疾患になり突如怒りをぶつけられるようになった。料理上手でポテトチップスまで手作りしてくれた以前とは別人。過食を繰り返し、起きられない日も増えた。仕事で多忙な父親には頼れず、姉と共に買い物や料理、掃除をこなした。

 必死な日々の一方で、「この生活がいつまで続くのか」と頭も心もパンク状態に。カミソリを手首に当てたこともある。「家族がバラバラになるかも」と学校や親戚には言えなかった。

 5年ほどこんな生活が続いた後に母親は回復。でも、自身は疲れ果てていた。親に甘えや不満をぶつけられず、人と一緒にいるのが苦痛になった。大人になっても周りを頼れずにいた。

 2年前、精神疾患のある家族を介護する当事者団体「福岡こどもとパートナーの会」(福岡市)とつながった。3カ月に1度、似通った境遇の人たちと交流。全てを説明せずとも理解してくれる場に心がほぐれた。「母親もきつかっただろうな」。少しずつ気持ちが整理され、今は会の中心メンバーとして活動する。

 同会の金子勇人代表(50)は「精神疾患のある家族のケアラーは周囲に言えない傾向が特に強い」と話し、そのような境遇にあるケアラー向けの電話相談を企画。経験者が対応するため「安心して打ち明けてほしい」と呼び掛ける。

 電話相談は毎月第1土曜の午後1~4時、080(3992)7788。メール=fukuoka_childs_partner@yahoo.co.jp=では随時受け付けている。 (小林稔子)

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【ヤングケアラー】家族の介護や身の回りの世話をしている18歳未満の子どもたち。日本ケアラー連盟によると、病気や障害の有無にかかわらず、「幼いきょうだいの世話をしている」「日本語が第1言語でない家族のために通訳している」「アルコールやギャンブルなどの問題のある家族に対応している」なども含まれる。政府は昨年12月、中高生から直接聞き取る初の全国調査に乗り出し、2020年度中に結果を取りまとめる予定。

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