首都圏宣言延長 コロナ封じへの正念場だ

 新年度から国民生活を正常に戻し、夏の東京五輪開催につなげる-という視点に立てば、まさにここが正念場である。

 新型コロナウイルス対策で政府が首都圏の1都3県を対象にした緊急事態宣言の期限を2週間延長し、21日とすることを決めた。首都圏の経済活動への制約が長期化することで、地方経済にもマイナスの影響が予想される。それでも現状を見ると、感染再拡大の懸念はなお拭えない。判断としては妥当だろう。

 昨年来、ウイルスが首都圏を主たる感染源として列島全体に拡散してきたことは明らかだ。 今年1月に緊急事態宣言が再び出て以降、飲食店の時短営業を軸にした対策により首都圏の感染者は大幅に減り、国の警戒レベルで最も深刻な「ステージ4」の状況を脱してはいる。

 ただ最近は感染者の減少率が鈍化し、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は完全には解消されていない。感染力が強いとされる変異株もじわじわ広がっている。ワクチンの供給、接種を巡っても準備に混乱が目立つ。

 春先は通常、歓送迎会や花見など人の接触が増える時季だ。25日には五輪の聖火リレーが始まる。ここで対策を緩めれば、感染が再拡大し混乱を招く恐れがある。政府と1都3県は「人流」の抑制と併せて変異株対策や疫学調査の強化などを着実に進めてほしい。地方でもいま一度、市民に協力を促したい。

 その上で、政府に改めて指摘したい問題もある。一つは時短営業を強いられる飲食店などに対し損失に見合う支援金を平等に支給する仕組みが構築されていないことだ。早急に検討し、事業者の理解を得るべきだ。

 もう一つは専門家や自治体との連携に依然ほころびが見えることだ。菅義偉首相は宣言延長について「ぎりぎりまで状況を見極める」と述べていながら、期限4日前の3日に突然、2週間延長の方針を表明した。

 専門家には経済再生に前のめりな首相に不満や懸念の声がくすぶる。1月の宣言は都知事らの強い要請に応じる形で出したため「政府の対応は後手」との批判も招いた。そこで今回は、首相が率先して厳しい判断を下す姿勢を演出した格好だ。

 本来は専門家や自治体の声をじっくり聞くのが筋だ。それを省いたことで首相の焦りが際立った感もある。国と1都3県による連絡調整会議が機能した形跡がないことも問題だろう。

 国、専門家、自治体の3者が綱引きを演じていては、国民の幅広い協力は得られない。今後の感染再拡大をなんとしても食い止める。そのためには3者がここで冷静に向き合い、連携を深める契機とすべきだ。

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